「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年11月9日

養育費は「20歳まで」とは限らない/お茶の間学

▼Q 現在、離婚協議中です。高校2年の子どもがいて、大学まで進学させてやりたいと思っています。大学卒業まで養育費を支払ってもらえますか。

▼A 養育費とは、親が負担する「未成熟子の生活費」をいいます。まだ経済的に自立できていない子の衣食住の費用や教育費、医療費などが含まれます。

養育費をいつまで支払うのかという「終期」は、当事者同士の協議や裁判所の判断で「20歳に達する日の属する月まで」と、取り決めることが一般的には多いようです。

しかし、これはあくまで「一般的に多い」という話であって、事情が異なればもちろん終期も変わってきます。

例えば、お子さんが高校卒業後すぐに働く見込みなら、終期を「満18歳に達した後の最初の3月まで」と決めることができます。逆に大学卒業を前提に「満22歳に達した後の最初の3月まで」とすることも可能です。家庭裁判所の調停などでも、養育費を負担する親側の収入や学歴環境などから、終期を「大学卒業まで」として認められる例もあります。

最近は高学歴化が進んでいますから、お子さんの将来を考えると、教育費を十分に確保してあげることが大切になります。

あなたの場合も、お子さんが大学進学を希望しているのであれば「養育費は一般的に20歳までだから」と諦めず、大学に進む見込みであることを積極的に相手方に伝え、学費の負担についても相談・交渉してみてください。

西日本新聞 11月9日分掲載(西山純理)

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