「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年4月27日

18歳 選挙前に憲法考えよう

▼Q 今年の夏、初めて投票に行く予定の18歳です。国民の投票で首相が直接選べれば、選挙も盛り上がると思います。

▼A 日本では国民が首相を直接選ぶことはできません。憲法が、首相を指名するのは国会、つまり国会議員の多数決で決めると定めているからです。

日本では、国政選挙のほとんどの候補者がどこかの政党に所属しています。当選して国会議員になると、自分が所属する政党の代表を首相に指名します。ですから、日本の選挙制度はどの政党の代表を首相にしたいかを考えた上で投票することで、間接的に首相を選べる制度ということができます。

一方、あなたが住んでいる地方の知事や市長などは、直接選挙で選ぶことができます。これも憲法に基づいています。

このように、統治機構に関するさまざまな仕組みは憲法に定められており、首相公選制にするなど、その仕組みを変えるためには、憲法改正が必要です。憲法を改正するには、国民による投票が必要で、国会議員だけで変えることはできません。

同じ政治家を選ぶのに、国と地方で選挙制度が異なるのはどうしてでしょう。また、政治家だけで憲法を改正できないのはなぜでしょう。

18歳が選挙権を行使できる予定の参院選前の6月、福岡県弁護士会は憲法に関するシンポジウムを開きます。他にも、市民の皆さんと憲法について考える取り組みを積極的に続けています。一度参加してみませんか。

西日本新聞 4月27日分掲載(中野公義)

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