「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2014年12月24日

夫婦は互いに分担する義務あり

▼Q 夫の暴力で別居しました。夫には収入があり、私は無職ですが、夫は「勝手に出て行ったんだから生活費はやらん。こうなったのは全部おまえの責任だから離婚するなら逆に慰謝料を払え」と言われています。夫が言うように全部私の責任で私は何も言えないのですか?

▼A 夫婦は資産や収入などがあれば、婚姻から生ずる費用を互いに分担する義務があります。これを婚姻費用の分担と言います(民法760条)。夫が婚姻費用を支払わないと主張しても夫には支払い義務があります。特にあなたの場合は夫の暴力というあなたが出て行かざるを得ない理由がありますので決して自分勝手に出て行ったわけではありません。

DV被害に遭っている女性は夫から「全部おまえの責任だ」と言われている方は多くいます。そう言われ続けるとだんだんと「本当に自分が悪いんだ」と思ってしまうようです。しかし、女性にだけ責任があるはずはありません。たとえ責任があったとしても暴力をふるってよい理由にはなりません。あなたの夫が何をもって慰謝料請求をすると言っているのかわかりませんが、妻を怖がらせるために言っている場合が多いようです。むしろ、DVを証明することで夫に慰謝料請求をすることができるのです。傷害罪で刑事告訴をすることもできます。一人で悩まず、弁護士に相談してください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 12月24日分掲載(里本 麻衣)

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