「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年4月2日

荷物破損、3カ月以内に連絡

▼Q 年明けに引っ越し、料理を作ろうと段ボール箱からセットもののお皿を取り出したところ、1枚が割れていました。弁償してもらえますか。

▼A すぐに引っ越し業者に連絡しましょう。多くの業者は国土交通省が定めた「標準引越運送約款」にのっとっています。このルールによると、荷物の紛失や破損についての業者の責任は、荷物の引き渡しを受けてから3カ月以内に連絡しないと消滅することになっているからです。

また、賠償の範囲ですが、セット物であれば、一部が壊れたためにセットとしてもはや使用できないので、割れた1枚分だけでなく、全体について弁償されるのが一般的です。

もっとも、皿が割れた原因が業者側にない場合は、約款によっても賠償を求めることはできません。例えば、あなた自身が皿の入った段ボール箱を落とした、輸送用トラックがもらい事故に遭った-など、業者に過失がないケースです。

そうした場合に備えて、依頼する側自身が、引っ越し荷物運送保険に加入しておくと、それで補うことができます。引っ越しの際に加入していなかったか確認してみましょう。

業者側に責任があっても、荷物を受け取った日から1年を経過すると時効にかかるので、注意が必要です。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 4月2日分掲載(春田久美子)

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