「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2013年8月14日

生活に身近な法律、学ぼう!

▼Q 高校生です。友達のAとけんかして、インターネットの掲示板に「Aは試験で赤点とった」と書き込んだら「名誉毀損(きそん)だ」と言われました。本当にそうなのですか。

▼A 名誉毀損罪とは「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立し、法定刑も「3年以下の懲役等」とされています。ネット上で試験の点数のことを書くのは「公然と事実を摘示」したことに当たり、実際に赤点だったかに関係なく、名誉毀損罪が成立し得ると考えられます。

もっとも、表現の自由も大事です。(1)表現した事実が公共の利害に関するものであり、かつ(2)専ら公益を図る目的があって(3)その事実が真実である-との証明があったときには「刑罰を科さない」ということになっています。質問のケースは、これに該当する可能性は「ない」と思われます。

このように、法律は私たちの生活と切っても切れない身近なものなのです。法律について考える機会を持ち、ネット上ではなく、リアルな世界でいろいろな意見を持つ人と議論することは、とても良い機会になるはずです。

福岡県弁護士会は、今年も中学生、高校生を対象とした「ジュニア・ロースクール」を開催します。今回は強盗致傷の事件の模擬裁判を題材に、刑事事件の手続きやルール、裁判員裁判について学んでいきます。夏休みの自由研究にもお勧めです。たくさんの参加をお待ちしています!

◆ジュニア・ロースクール 17日午後1時から、福岡市早良区の西南学院大学法科大学院。参加無料。申し込みは16日午前9時~午後3時に電話で福岡県弁護士会=092(741)6416。

西日本新聞 8月14日分掲載(平嶋瑠理)

※このイベントは終了しました

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