「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2012年9月15日

自筆の遺言書 無効になることも

▼Q 自宅くらいしか財産はありませんが、遺言書を自分で作ってみようと思っています。注意すべき点を教えてください。

▼A 自分で作成するものを「自筆証書遺言」といいます。費用もかからず手軽ですが、法律で定められている要件を満たしていないと無効になるので注意が必要です。

署名を含む全文を自筆で書くこと。代筆やワープロ、パソコンによる作成、ゴム印は無効です。ビデオやテープレコーダーに吹き込む方法も認められません。また、押印が必要です。三文判でも構いませんが、実印が望ましいでしょう。日付も必ず記してください。

特に作成の日付については、具体的に明確にしておかなければなりません。「平成24年9月吉日」といった表現は無効です。

自宅(不動産)の表示は全部事項証明書(不動産登記簿)や固定資産税納税通知書に記載してある表示通りに正確に書いておきましょう。封はしなくてもいいですが、封印のある遺言書は家庭裁判所での検認手続きの中で開封することになります。

遺言書は何度でも書き換えることができます。ただし、複数存在する場合は最も日付が新しいものが有効となります。用紙や筆記具の種類は問いません。また、夫婦2人名義で1通の遺言書を作成することはできません。訂正する場合は所定の方式を踏む必要があります。作成に当たっては弁護士もお手伝いできます。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。
=土曜掲載

西日本新聞 9月15日分掲載(柴尾知成)

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