「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2011年3月31日

暴力団事務所 条例で排除

暴力団におびえることのない安全で平穏な生活は、私たち市民の誰もが望んでいることです。もしも暴力団事務所などが自宅近くにできたら、そうした生活は一変してしまいます。

昨年4月、福岡県で「暴力団排除条例」が施行されました。暴力団の拠点である事務所を開設することが難しくなるよう、厳しく制限した条例です。

具体的には、幼稚園、小中高校、図書館、博物館、公民館といった教育施設の周囲200メートル以内に、暴力団事務所を開設することが禁止されました。これに反した場合は、懲役を含む刑事罰に処されます。これは全国で初めての取り組みです。

また、不動産の売り主、貸し主などは、暴力団事務所に使用されることを知って不動産取引を行うことは禁止されるように なりました。福岡県内に所在する不動産を譲渡もしくは賃貸するとき、売り主や貸し主は暴力団事務所に使用されないことを確認するよう努めなければならず、使用が分かった場合は契約できなくなりました。事後的に利用されていることが判明した場合は、契約を解除するか、その不動産を買い戻すよう努めなければなりません。

暴力団事務所の排除を目的とした条例は、九州でも長崎県や佐賀県で施行されています。

福岡県弁護士会は、暴力団事務所の排除に関する相談も受け付けていますので、ご利用ください。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

(要予約・30分5,250円)

西日本新聞 3月31日分掲載(伊藤拓)

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