「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2011年1月6日

マイホーム選びは慎重に

マンションや一戸建てを探しているみなさん、購入時のトラブルには注意しましょう。通常は、最初に不動産業者の広告やホームページで物件を選び、業者から重要事項の説明を聞くとともに現地で確認し、最終的に代金や支払い方法について交渉していく流れになります。

その際、例えば、その物件に人が住んでいる場合、それが誰なのか、物件に対して権利を有しているのか(借家権など)確認する必要があります。住人に借家権があれば、その人が立ち退きに応じないと、賃貸人としての地位を引き継ぐだけにとどまり、購入しても住めません。

また、もしも敷地の境界付近にキウイの木が茂り、おいしそうな実を見つけたとします。まずは実を採る前に、木の根元部分が敷地内にあるか、境界標のくいなどを基に確認しておく必要があります。庭の樹木は原則として土地の構成部分であり、土地の一部だからです。

次に、敷地の周りに擁壁が設けられた丘の上の物件を例に挙げてみます。購入後、大雨で擁壁が崩壊し、地盤が崩れて建物が傾いた場合、擁壁の欠陥(隠れた瑕疵=かし)を理由に、売り主に対して瑕疵担保として売買契約の解除、または損害賠償の請求ができることがあります。不動産トラブルは法や権利が絡み合い、複雑になるケースも少なくありません。マイホームは高額な買い物だけに、慎重に選びましょう。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

(要予約・30分5,250円)

西日本新聞 1月6日分掲載(相島哲生)

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