「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2010年11月12日

投資勧誘詐欺には注意

投資をめぐるトラブルが後を絶ちません。うまい話には必ず裏があります。

勧誘は突然のダイレクトメールや電話から始まります。「銀行に預けても大して金利はつきません。特別に未公開株をお譲りできます。A社は上場予定の有望企業です」。初めは断っても、次に「A社の株をお持ちではないですか。貴重な株なので購入価格の2倍で買い取らせていただきます」。それなら、と数百万円で購入すると、途端に買い取り業者とも、株を売った業者とも連絡が取れなくなり、手元には本物らしき株券が残っただけ、という状態に・・・。

本当に上場すればいいのですが、上場予定の株はグリーンシートと呼ばれ、通常は証券会社が扱います。情報はホームページでも公表されます。でなければ詐欺商法の疑いが濃厚です。

今後のことは分からないのに「必ず上場する」「必ずもうかる」などと断定的な判断を述べて勧誘することは、違法です。消費者契約法に基づき契約を取り消し、代金の取り戻しが請求できます。民法上の不法行為としての損害賠償請求も可能です。

最近は、転換社債、イラクの通貨ディナール、スーダンのポンドなど、株式にとどまらない投資勧誘商法が増えています。

早く行動を起こさないと、連絡が取れなくなったり、会社が破産したりして回収が困難になる恐れがあります。実体のない業者も少なくありません。ぜひ早めに相談を。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

西日本新聞 11月12日分掲載(桑原義浩)

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