福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

月報記事

2023年5月 2日

あさかぜ基金だより

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 代表社員弁護士 石井 智裕(72期)

壱岐の引継式
あさかぜ所員も、西原弁護士・宇佐美弁護士の引継式に参加し、その後に開催されたひまわり基金法律事務所の支援委員会にオブザーバー参加し、事務所見学にも参加しました。

西原弁護士の活躍

西原弁護士は、令和3年1月より壱岐ひまわり基金法律事務所の6代目所長に就任し、2年間業務をしていました。西原弁護士は、任期中に255件の相談を受け、うち、新規案件を121件を受任したということです。 西原弁護士は、退任の挨拶の中で、任期中を振り返り、弁護士のハードルを下げたい思いだったが、多くの相談があり、ハードルは下がったのではないかと思う、後任の宇佐美弁護士にも引き続きハードルを下げていってもらいたい、と述べていました。

宇佐美弁護士の着任挨拶

続いて、宇佐美弁護士が、着任の挨拶をしました。
壱岐ひまわりの引継式は、新型コロナウイルスの流行もあり、飲食を伴わない形式で実施されたため、引継記者会見が主たる内容となっていました。この引継式に西原・宇佐美という新旧所長のほか、前田憲德九弁連理事長、柏木慎太郎九弁連事務局長、濵口純吾長崎県弁護士会会長、山下俊夫壱岐ひまわり支援委員会委員長が出席しました。また、あさかぜ所員のほかには、地元新聞社から数名、長崎県内の公設事務所の所長、公設事務所支援委員会委員が参加していました。
宇佐美弁護士は、着任にあたって、弁護士を目指した経緯や、ひまわり所長になるにあたっての意気込みを語りました。
宇佐美弁護士は、弁護士になる以前、裁判所書記官として勤務していましたが、そのとき(今から10年ほど前とのことです)大分地裁に勤務していたとき、地元の弁護士から、「弁護士の人口がふえても、過疎地には誰も来てくれないんだよ」との嘆きを聴いて、「自分が求められる場所がある」と思い、弁護士を志したとのことでした。
また、宇佐美弁護士は、裁判所書記官として勤めていたときは、市民からの相談があっても、裁判所という中立公正の立場からは、あきらめるべき事案ではないのにもかかわらず、あきらめないでくださいといえなかったことから、相談に来た人のためにできることには限界があると感じたのも、弁護士を志すきっかけとなったそうです。
さらに、宇佐美弁護士は、「壱岐の地で、最後の人生に一華咲かせたい」と、公設事務所で働くことへの強い意気込みを感じました。

支援委員会

引継式のあと、長崎県内の公設事務所(島原中央・対馬・壱岐・飛鸞)の合同支援委員会が開催されました。あさかぜ所員も、オブザーバーとしての参加が許可されたので、傍聴しました。
委員会では、各所長から、各月の新規相談・新規受任件数、現在の手持ち事件数と進捗状況、収支状況、引継状況について報告があり、あわせていくつかの事件相談がありました。どの事務所も毎月の相談件数は平均して10件程度、手持ち事件数が多い所では60~70件ほどで、ひまわり事務所が地域の人々に頼りにされて忙しいことがうかがわれました。手持ち事件については、案件管理表を用いて、全件の進捗を担当の委員と共有する形になっていて、所長が一人で司法過疎地に放り出されるわけではなく、適切に、サポートを受けられる形になっていたので、これから赴任する私にとっては安心できるものです。
弁護士がいない場所に赴任して、ともすれば孤独を感じやすい環境ではありますから、これから赴任する立場として、年に数回、弁護士がこのように集まる機会があるのはありがたいものです。

事務所見学

引継式の翌日、壱岐ひまわり基金法律事務所を訪問し、宇佐美弁護士から事務所内を案内してもらい、そのうえで、赴任時の注意事項、引継方法について話しを聴きました。
壱岐ひまわり事務所は、あさかぜ事務所の執務室くらいのスペースに、執務室と相談室があり、弁護士1名・事務局1名体制で執務しています。執務スペースとしては、ゆとりがあるような感じです。
ひまわり事務所に赴任するに当たっての準備すべきこと、事務所経営に関することなど、いろいろ役に立つ話しを聴くことができました。

誰もいなくなって......いい!

私は令和2年正月6日にあさかぜ基金法律事務所に入所しましたが、令和5年2月末に佐古井啓太弁護士が対馬ひまわり基金法律事務所に赴任しましたので、令和2年正月にあさかぜ基金法律事務所にいた人間は私だけになってしまいました。

私が過疎地に赴任するときには、宇佐美弁護士を見習い、高い志をもって、赴任したい、そんな気持ちを新たにして帰福しました。

あさかぜ基金だより

「ジュニアロースクール2023春in福岡」リアル開催!

法教育委員会 委員 土田 礼二朗(74期)

1 はじめに

令和5年3月29日、「ジュニアロースクール2023春in福岡」が開催されました。
新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和に伴い、今年のJLSは、4年ぶりに完全リアル(オフライン)で開催されました。
私自身は最近福岡県弁護士会に入会させていただいたばかりで、JLS当日のみの参加でしたので、以下、主に当日の様子についてご報告させていただきます。

2 今回のテーマ

2022年4月から、民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられたのに伴い、18歳から裁判員になることができるようになりました。これにより、高校在学中や高校を卒業したばかりで、まだほとんど社会経験がない人でも、実際に裁判に参加し、重大な判断を迫られることになるかもしれません。
そこで、法教育委員会では、成人が身近に迫った中高生に対して、刑事裁判の仕組みを学ぶと同時に、他人の意見を聞くこと、他人を説得すること、そして人を裁くということについて考えてもらいたいと思い、今回のJLSでは、刑事模擬裁判を行い、中高生には裁判官として参加してもらうこととしました。
具体的には、傷害事件の模擬裁判を委員の先生方が実演し、参加者の皆さんには、証人や被告人への補充尋問(質問)を行ってもらったり、実際に被告人が有罪か無罪かの判決を下してもらいました。

野田部会長による開会の御挨拶
3 当日の様子

⑴ 今回は、4年ぶりのリアル開催ということに加え、人気の刑事模擬裁判ということもあり、定員100名が申込み締切の約10日前に埋まるという盛況ぶりでした。
当日は、残念ながら急遽不参加となってしまった生徒さんもいましたが、総勢98名(中学生23名、高校生75名)の生徒さんにご参加いただきました。
生徒さんには7~8名ずつの班に分かれてもらい、それぞれの班に1人もしくは2人のサポート弁護士が同席しました。

会場の様子

⑵ 今回の題材は、
「とある大学の学生が襲われた。被害者は犯人の顔を見ていなかったが、事件前に被害者と口論していた同じ和太鼓クラブの部員が犯人として起訴された。」
というものでした。
被告人が所持していた太鼓のばちから被害者の服の繊維が検出されたり、犯行状況を見ていた目撃者も存在していたのですが、それらの存在から本当に有罪と認定できるのか、という点が主な争点となり、私がいた班でもこれらについての意見がよく出てきました。
補充尋問は、各班で意見をまとめた上で、代表者が挙手して質問するという形式で行われましたが、時間の関係で質問を打ち切るまで、途切れることなく手が挙がっていました。

補充質問の様子

「目撃者と被告人の位置関係はどのようなものであったか」「被告人の太鼓のばちが被害者に接触する機会は他にもあったのか」などの質問は当然のように出てきており、被告人のアリバイや被告人の動機について触れた質問もありました。
回答の際は、被告人役の吉田幸祐先生、目撃者役の平嶋先生、被害者役の高尾先生が名演技を披露してくださりました。生徒さんにも受けが非常に良く、回答の度に会場が沸いておりました。あまりにも名演技だったためか、平嶋先生の発言が全面的に信用されなかったのが印象的でした。中高生の生徒さんたちの中にも、酔っ払いの発言は信用できないとの印象があったのでしょうか。
生徒さんたちは実にたくさんの質問をしてくださり、裁判長役の吉田俊介先生が補充で質問する必要がほとんどないほどでした。

評議の様子

⑶ 判決の評議も班ごとに決めてもらい、それを集計して判決を下すという形式で行いました。
議論の際は、付箋を用いて有罪方向の事実と無罪方向の事実とを整理して判断している班が多くありました。

論告と弁論の際に、判断方法について触れたおかげで、生徒さんたちも考え方は迷っていなかったように思えます。
有罪とするか無罪とするかの結論で迷っている班は多数ありましたが、目撃者の証言が信用できず、合理的疑いを差しはさむ余地がないというには証拠が足りないことから、全ての班で無罪の結論となりました。吉田幹生先生による講評の際に、班としては無罪判決としたが、個人的には有罪の意見だったという生徒さんに手を挙げてもらったところ、意外と多くの手が挙がったので、個人的には、どういう理由から有罪と思ったのか、なぜ班の意見として押し切れなかったのかなど、詳しく聞いてみたかったなと思います。

4 おわりに

約3時間半で模擬裁判を最初から最後までやり、かつ、間に議論の時間を2回設けるという非常にタイトなスケジュールでしたが、鎌田先生をはじめとして、キャップの稲吉佑紀先生をはじめとする実行委員の先生方(陰のキャップは鎌田祥太先生とうかがっています。)の入念な準備や、吉田俊介先生をはじめとする当日のキャストの先生方の名演技のおかげで、滞りなく盛況に終えることができました。私は当日の参加だけでしたが、今回のJLSも大成功であったと思っております。 今回のJLSは4年ぶりの完全リアル開催でしたが、委員の先生からは、やはりリアル開催のほうが議論などを円滑に進めやすいし、何より盛り上がって楽しいという意見が多数ありました。

オンラインにはオンラインの良さがありますが、対面でなければ伝わらないこともあると思いますので、今回リアル開催できたことは非常に喜ばしいことであったと思います。

「改正プロバイダ責任制限法弁護士実務の変更点」研修講演開催のご報告

会員 南正覚 優太(74期)

1 はじめに

令和5年3月7日(火)、福岡県弁護士会館及びZoomウェビナーにて、東京弁護士会の清水陽平先生による「改正プロバイダ責任制限法弁護士実務の変更点」研修講演が開催されました。
清水陽平先生は、ネット中傷の削除や発信者情報開示といったインターネットの分野で、多くの実績を有する方であり、具体的には、TwitterやFacebookへの発信者情報開示を日本で初めて成功させた先生です。最近では、ネット炎上に強みのある弁護士を主人公にした、累計135万部を突破した大人気コミックス「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修もされています。
その清水陽平先生を講師に招き、令和3年に改正された「プロバイダ責任制限法」について、講演をしていただきました。

2 プロバイダ責任制限法とは

まず、プロバイダ責任制限法(以下「プロ責法」といいます。)とは何かという基本的なところから説明が行われました。
SNSや掲示板で、特定個人に対して、誹謗中傷が行われた場合、弁護士としてできる対処法は、(1)誹謗中傷を削除すること(2)誹謗中傷を行った相手を特定して責任追及することになります。
具体的な流れとしては、当該誹謗中傷を保全した上で、SNS事業者等に対し、誹謗中傷の削除の請求ないしは仮処分を行い、発信者の通信記録(IPアドレスとタイムスタンプ)を取得し、その通信記録に基づいて発信者の氏名・住所を通信事業者等に開示させ、それで開示された発信者情報に基づいて発信者に対し損害賠償請求等を行うことになります(この発信者情報開示の流れの説明は簡易的なものです。)。
この流れのうち、SNS事業者等への通信記録の開示請求と通信事業者等への発信者情報の開示請求の際に用いられるのが、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、いわゆるプロ責法となります。
なお、プロ責法の請求を行うことができる発信は、誰もが閲覧できるインターネット通信であり、メールやLINEといったクローズドなインターネット通信には、プロ責法は無力とのことでした。

3 従来のプロ責法に基づく手続きとその問題点

上記で述べた通り、インターネット上の権利侵害で、発信者を特定するためには、多くの場合、2段階の裁判をしなければなりません。具体的には、(1)SNS事業者等へのIPアドレス(インターネット機器に割り当てられた識別番号をいい、インターネット上の住所のようなものです。)の開示請求(2)通信事業者等へのIPアドレスを割り当てられている契約者の氏名・住所の開示請求です。というのも、多くの先生はご存知だとは思いますが、多くのSNS事業者等や通信事業者等は、任意に情報を開示してくれることは少ないからです(通信の秘密等との関係もあります。)。
このように、最終的な目標である発信者への賠償請求へ行きつくのに、多くの時間と費用を要することが社会問題となっていました。また、プロ責法自体が、2001年に成立した法律であり、TwitterやFacebookといった急速に進化を遂げているインターネットに対応できないという問題もありました。
これらの問題に対応するため、令和3年に改正プロ責法が施行されたとのことでした。

4 改正プロ責法の内容

改正プロ責法の主要な変更点は、(1)ログイン型に関する規定の整備、(2)新たな裁判手続きの創設があげられます。
まず、(1)のログイン型とは、TwitterやFacebookといったログインをして書き込むタイプの類型についてです。従来のプロ責法が成立した2001年頃には、このような類型は想定されていなかったため、このログインのための通信は、法律上開示の対象になっていませんでした。そのため、これまでは、「発信者情報」を拡大解釈することで、発信者の情報開示を認容してきました。しかし、このような解釈論のみで対応することには限界が来ていたことから、このログイン型に対応する「特定発信者情報」という規定を創設しました(法5条1項)。そして、総務省令で定める「侵害関連通信」として、アカウント作成時・ログイン時のSMS等の認証通信が、開示対象として明示されることになりました(施行規則5条)。これにより、権利侵害投稿に紐づく通信ではない、それ自体では適法な通信をたどって発信者を特定していくという流れになるとのことでした。
次に、(2)の新たな裁判手続きの創設としては、上記の2段階の裁判手続きを、一つの非訟手続で行うことができるようになりました。そして、それを行うために「開示命令(法8条)」「提供命令(法15条)」「消去禁止命令(法16条)」という3つの命令も創設されました。これまでは、SNS等事業者と通信事業者等に対して、請求者がそれぞれに請求をする必要がありました。しかし、上記で新設された命令により、SNS等事業者と通信事業者等の間の情報開示が行われるようになり、請求者としては、それぞれに別の裁判手続をする必要がなくなる見込みとのことでした。

5 清水先生の改正プロ責法に対する見解

清水先生は、これらを理論整然と説明してくださった後、ただし、改正プロ責法の運用は、まさに新しく始まったばかりであり、以前の手法も残存することから、どうなっていくかはいまだ不透明という話もされていました。また、プロバイダ側が異議の訴えをする等の抵抗をすれば、開示手続の迅速化という題目が絵に描いた餅になりかねないという話もされていました。

6 終わりに

発信者情報開示の分野で著名な清水先生の講演ということもあり、多くの先生方が会館又はZoomで講義を聞いており、質疑応答では、多くの質問が飛び交っていました。
私自身、プロ責法を使うような事件を扱ったことはないですが、清水先生の講義を聞いていて、新たな技術の出現とそれに対応する法律家の熱意に感動しました。また、SNSが発達した現代において、こういったインターネット上の誹謗中傷についての問題は増加していく一方であり、多くの弁護士も注目していることが分かりました(日弁連のeラーニングで同様の講義が人気講座としてランクインし続けているのも、その証左でしょう。)。

私自身、発信者情報開示の分野は、聞きなれない単語だったり迅速性が求められる手続だったりで、なんとなく苦手意識がありましたが、今回の講義で発信者情報開示の分野の魅力を知ることできたので、今後はしっかり勉強をしていこうと思いました。

2023年4月 2日

アセクシュアルってなんなん?こまりごとの多様性を知る

LGBT委員会 久保井 摂(41期)

昨年NHKの「よるドラ」で放送された『恋せぬふたり』、ご覧になりました?そういえば、村上春樹原作の映画『ドライブ・マイ・カー』で一躍注目を浴びた三浦透子が主演した映画『そばかす』(今年公開)もまた、アセクシュアルをテーマにしたものでした。なにげにアセクシュアルは今や踏み込んで知るべき課題になっていると言ってもよいかもしれません。

1 LGBT電話相談にて

福岡県弁護士会は福岡市・福岡県との共催で、月2回LGBT電話相談を行っています。私が担当したある日、「アセクシュアルなんですが」と打ち明ける相談がありました。20代の方で、大学に進学したものの、いわゆる「恋バナ」につきあうのが苦痛でならず、話を合わせることに耐えられず退学してしまい、アルバイト先でもその苦しみに変わりはなく、人と関わること自体が怖くて何年も自宅に引きこもっているという困りごとでした。
もろもろお話はしましたし、その頃刊行されていた『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて―誰にも性的魅力を感じない私たちについて』(明石書店)もご紹介してみたのですが、書籍は既に購入して読んでいるとのことでした。社会のどこにも居場所のない、自身の存在が否定されているような苦しみは受話器越しでの会話でも切々と伝わり、しかして何ら適切な援助を示すことができずに終わったのでした。
その頃から、アセクシュアルについての研修会を持ちたい、という強い思いを持つようになりました。
しかし、委員会で企画を具体化しようとしていた頃コロナ禍が出来し、企画は頓挫、このほど3年越しの念願の開催となりました。

2 うれしい誤算・まさかの満員御礼(失礼)

研修会は2月5日(日)15時よりの開催となりました。日曜の午後やや遅い時間帯、しかもきわめてマイナーなテーマで、果たしてどれほどの方にお越しいただけるのか、企画側は不安を抱えつつ、委員会のメンバーはなるべく参加するようにとのお達しのもと、当日を迎えました。
ところがです。会館ホールがほぼ満員の大盛況。実は大いなる社会的関心がこのテーマに寄せられているのだと知らされることとなりました。

3 講師陣

今回、司会を務めていただいたのはLGBT委員会の設置を牽引していただいたアクティビストの五十嵐ゆりさん、多様な肩書を持ちLGBTQ+や社会に向けて情報を発信してこられています。講師には、Aro/Aceな方々をつなぐための活動を行っているAs Loopのメンバーで、アロマンティック・アセクシュアル、Xジェンダー当事者である中村健さんと、大阪大学大学院人間科学研究科の三宅大二郎さん。
既に耳慣れない単語がでてきましたね。まず、アセクシュアルの「ア」は否定を表す接頭辞で、アセクシュアルはセクシュアルでないことを意味します。英語圏では「性的に惹かれるという経験をしない人」のことを言うそうですが、日本では統一された定義はなく、個人や団体によりその内容は異なるそうです。
アロマンティックはロマンティックではない、つまり恋愛的に惹かれることがないことを意味します。また、他者と情緒的なつながりがある場合のみ性的に惹かれることがある人をデミセクシュアルと言い、恋愛的に惹かれるけれど、相手にその感情を返してほしいとは感じない人をリスロマンティックというなど、この辺になるともう頭が混乱してしまいます。
ともかくもこうした周辺領域を含み、広い意味(スペクトラム)で性的に惹かれないことをAce(エース)、恋愛的に惹かれないことをAro(エィロ、アロ)と呼び、包括した概念としてAro/Aceという言葉を用いているのです。

4 中村健(なかけん)さんのお話

基礎知識について解説いただいた後、なかけんさんが「アロマンティック・アセクシュアルを自認する私の体験」を語ってくださいました。中学生のとき、仲の良い「友達」から告白を受け、勘違いしたまま交際がスタートしたけれど、なにも(恋愛的・性的な)進展がないと不満を抱いた相手と徐々に疎遠になってしまい、大切な友達を失ったことにショックをうけたことなど、恋愛や性愛が分からないことによる疎外感についてお話しいただきました。その後、インターネットで「恋愛感情」、「わからない」、「おかしい」などの用語で検索しているうちに同じ思いの人たちの掲示板にたどりつき、アセクシュアル、アロマンティックという「言葉」に出会って、自分を説明する言葉ができた喜びを知り、今日の活動を開始するに至ったとのことです。
なかけんさんは、Aro/Aceの人たちは自分たち以外の方には理解されにくく、何気ないひと言で深く傷つけられるのだと教えてくださいました。満を持して打ち明けても、「本当の恋愛を体験したことがないからだよ」、「思い込みだよ」とスルーされたり、「運命の人に出会ってないだけじゃない」とかわされたり、そもそも恋愛感情や性的に惹かれることがないことを証明することは不可能なので、否定されても正面から反論できず、ないものとされる恐怖に常にさらされる状態にあり続けている実態を垣間見ることができました。

5 Aro/Ace調査

三宅さんからは、2022年6月にウェブ上のアンケートフォームを利用して行った調査結果についての紹介がありました。13歳以上のAro/Aceを自認する日本語の読み書きをする人が対象ですが、わずか1月の間に2331通もの回答が寄せられたということです。どれだけ多くのAro/Aceが私たちの周りにもいるのか、気づかせてくれる数字です。ちなみに、全人口の何パーセントかというと、2019年に行われたある調査では0.8%とされているそうです。
調査では、回答者のうち自分がAro/Aceであることを誰にも伝えていない人が最も多く(32.5%)、また、生きている中で不安を感じることについての回答では、周囲に自分のあり方が理解されていないことや、恋人/パートナーを持たない生き方をすること、病気やケガをしたときに助けてくれる人がいないこと、家族、親族との関係がうまくいかないことなど、常に生きづらさを抱えていることが明らかになりました。
また、恋愛感情というものが分からないまま人と接していると、性的な信号を読み取れず、相手の思い込みから性行為を強いられてしまう危険もあるとのこと。なるほど。

6 多様な関係性に思いを馳せる

休憩を挟んで、「親密な関係性とはなんだろう」とのテーマで、アンケートフォームにより来場者に募った「恋愛/性的関係の暗黙の了解」に関する意見を紹介しながら、「友達以上、恋人未満」というフレーズをどう考えるのか、恋人が上で友達はそれより下なの?恋愛や性的関係において「暗黙のルール」とされているものにどんなものがあるか、そのようなルールを押しつけていいのか(異性の部屋を訪ねたらそれは性的関係OKというサイン?など)、といった問いかけを受け、それぞれが自分ごととして考える時間を持ちました。
Aro/Aceの中には、恋愛関係ではないけれど、親密で感情的なつながりを持つパートナーのような関係の人がいる方もいて、そんな存在を表現する適切な言葉がないために、英語圏では「ズッキーニ」と呼んだりするそうです。クィアプラトニック関係とも言い、いわゆる恋愛関係ではないけれど、親密で感情的な絆が存在する関係、通常の友情よりも、もっと深くてもっと情熱的な関係、とハフポストの記事にはあります。
なんだか、平等対等ですてきな関係じゃありませんか。

7 多様な関係性を想像できる社会に

私たちはしらずしらず「異性愛規範」や「結婚出産規範」に絡め取られ、恋愛/性愛以外の関係のあり方があるなんてことを考えもしない、そういう状態にあるのかもしれません。
五十嵐さんが会場で発言された、LGBTQ+は、自ら自分の特性を明らかにしないかぎりその存在が気づかれない状況にあるという話は、いわゆる社会的マジョリティとマイノリティとの非対称性を明らかにするものです。
すべてのマイノリティが恐怖心を抱くことなく、背を伸ばしてゆったり歩き過ごすことのできる社会。それは誰にとっても住みよく、人権が尊重される社会です。そのための一歩として、ぜひAro/Aceのことを学んでみてください。

会の終了後、3人のゲストの前にはそれぞれ少しでも話を聞いてほしい方々が列をなし、熱心に講師陣と言葉を交わしていました。あぁ、切実な思いを持つAro/Aceが多数、この場に集ったのだ、この研修が開催できて本当によかったと、熱い思いがこみ上げてきました。

アセクシュアルってなんなん?こまりごとの多様性を知る

福岡人権ホットライン研修(LGBTの問題について)

人権擁護委員会 事務局長 塩山  乱(64期)

2023年2月13日午後1時半より、弁護士会館2階大ホールで福岡人権ホットライン研修に参加いたしました。

1 はじめに

福岡人権ホットラインとは、福岡県の委託で、毎月1回(毎月第4金曜日の15時から18時まで)、弁護士会館で実施している無料電話相談で、毎回2名体制で人権に関する相談に応じています。

今年は、LGBTに関する講演として、OVER THE RAIN BOWの代表である荒牧明楽さんに講演をして頂きました。

2 講演内容
⑴ アンコンシャスバイアス

まず、荒牧さんから差別が発生する原因として、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)というものの存在を説明されました。 その際、以下のような設問が提示されました。
「父親が、後部座席に息子を乗せて運転をしていたところ、トラックと正面衝突し、父親は即死、息子は重体となった。息子は、すぐに病院に運ばれて、海外でも著名な脳外科医の手術を受けることになった。脳外科医が手術室に入り、患者の顔をみたところ、脳外科医は「この子は、私の息子です!」と叫んだ。」
皆さん、この文書を読んでどのように感じるでしょうか。違和感はないでしょうか。
もう皆さん分かったと思いますが、この脳外科は、母親なのです。

福岡人権ホットライン研修(LGBTの問題について)

荒牧さんは、「海外でも著名な脳外科医、という記載で、皆さん無意識に男性だと思いこんでいませんか、これがアンコンシャスバイアスです。」とご説明をされ、なるほど自分でも意識していないのに、思い込みがあるのだと改めて気づかされました。このように、自分では気づかないうちに、差別していることがあるのかもしれません。

⑵ LGBTQおよび体験談について

その後、荒牧さんは、LGBTQの内容についてご説明をされ、日本および世界の現状について、説明をされました。 また、荒牧さんは、ご自身の小さい時のことから体験談をお話されました。詳細はここでは差し控えますが、小中高校時代の葛藤、カミングアウトに至る経緯まで、様々なお話をされ、その壮絶な人生に参加者は圧倒されました。ご興味のある方は、荒牧さんの著書である「トランスジェンダーの私が語るまで」(NR出版)を読まれてください。

⑶ 参加者との意見交換

その後、荒牧さんから、以下のような設問が示され、参加者が3名程度で話し合い、意見を交換するという時間が持たれました。設問は以下のようなものです。

①トランスジェンダーの人から、「自己の性自認に従ってトイレに入ったところ、中にいた女性から変質者であると通報されてとても傷ついた!これは、私が悪いの?」と相談を受けた。あなたなら、どのように回答をしますか。

②あなたが、子供から同性愛者であり、パートナーがいる、とカミングアウトを受けた際、どのように感じますか、また何と声を掛けてあげますか。

これらの設問について、絶対的な正解はありませんが、相手の気持ちを考慮して考えることが重要になると思います。皆さんは、どのように答えますか。

3 最後に

今回は、LGBTに関する講演でしたが、人権ホットラインでは、毎年様々な人権に関するテーマで講演が行われています。是非、皆様も来年度参加いただければと思います。

2023年3月11日

障害者差別解消法改正等に関する研修のご報告

会員 國府 朋江(65期)

1 開催の経緯

1月23日、日弁連と共催で障害者差別解消法に関する研修(キャラバン)が開催されました。本キャラバンは、日弁連が会員になじみのない障害者差別解消法について、基礎知識を付けてもらうとともに、この分野で自治体と連携していく単位会が増えることを期待して開催しているものです。福岡県弁護士会では、2019年8月に障害者差別解消法に基づき、会内で職員対応要領及び会員向けの対応指針を作成しており、次の段階として、自治体との連携を目指すべく、研修を開催することになりました。

2 障害者差別解消法の改正と障害者権利委員会からの総括所見

黒岩海映弁護士(新潟県弁護士会)より、障害者差別解消法の改正点及び2022年9月に日本に対して出された国連障害者権利委員会からの総括所見についての説明がありました。

障害者差別解消法の重要な改正点としては、民間事業者が障害のある人から合理的配慮の提供を求められた場合に、その提供が法的義務となった点です。弁護士も一民間事業者として、合理的配慮の提供義務を負いますので、注意が必要です。

国連障害者権利委員会からの総括所見は多岐にわたりますが、(1)精神障害者への強制入院や合意のない精神科治療などの扱いをやめること(2)障害児を含む障害者の脱施設化(3)障害者の司法アクセスの制限の廃止・配慮のための訴訟費用を国負担にするなど手続上の配慮を保障すること(4)分離特別支援教育を廃止し、個別の支援を保障することなどです。

3 雇用分野に関する権利条約の実現状況

田中伸明委員(愛知県弁護士会)からは、労働分野に関し、総括所見で保護作業所や雇用関連の福祉サービスから、民間および公的部門における開かれた労働市場への移行を加速させることなどが勧告されていることの紹介や、国内の法制度である障害者雇用促進法についての説明がありました。また、名古屋市では、名古屋市障害者差別相談センターが設置され、毎月1回、同センターの対応方針に問題がないか、学識経験者も参加しての協議・検討が行われているとのご報告がありました。

4 福岡市障がい者110番の取り組み

福岡市障がい者110番の専任相談員の高次美佳さんからは、福岡市における障害者差別禁止条例制定後に相談窓口に寄せられている差別相談の傾向や、相談員として相談にあたり心がけていることについて、相談者の心理状況や身体的な症状、差別する側の心理などにも触れつつご説明いただきました。 高次さんは、日弁連で作成した「自治体担当者向け障害者差別解消相談対応マニュアル」(2017.9.29)をご参照いただき、相談対応をしておられるとのことで、大変うれしく思いました。

5 労働分野における差別解消の取り組み

福岡労働局の篠原直樹さんからは、雇用促進法についての説明、実際に相談があった場合の対応の流れ、相談内容の傾向などについてご説明がありました。私が印象的に感じたのは、合理的配慮に関する相談は、上司・同僚の障害理解に関するものが最も多く38%、次いで相談体制の整備、コミュニケーションに関するものが19%もあるということです。これらは、コミュニケーションを取り、理解のための努力をすれば、多くの悩みが解決されるということを示す結果だと思います。 今回は日弁連のキャラバンとして研修を行いましたが、今後も差別解消法についての理解を深める機会を持てるよう、研修などを開催していきたいと思います。

社外役員に関する連続講演会(第1回)

会員 阿部 雄大(74期)

1 はじめに(WODICについて)

去る令和5年1月16日、弁護士業務委員会におけるPTの一つである「WODIC」勉強会において、「社外役員に関する連続講演会」の第1回目が行われました。本稿では、ご講演の内容のご報告の前に、簡単に「WODIC」についてご紹介させていただければと思います。

「WODIC」とは、「公益通報者保護法(=Whistleblower Protection Act)」「社外役員(=Outside Director)」「第三者委員会(=Independent Committee)」の頭文字から名づけられた造語であり、これらの企業法務分野において法の支配を貫徹させるための制度の理解を深めるべく、令和4年1月25日に発足した新しいPTです。WODICでは、これまでに企業の法務担当者や社労士の先生等の外部の方もご参加いただき、改正公益通報者保護法(W)に関する勉強会を継続して行ってきました。

今回、新たに「社外役員」(OD)をテーマとする連続講演会を開始することになり、その記念すべき第1回の講師として、古賀・花島・桑野法律事務所の古賀和孝弁護士(38期)をお招きし、ご講演をいただきました。講演会は弁護士会館だけでなく、ZOOM配信も併用する形で開催し、会場参加が15名、オンラインでの参加が52名の合計67名と多数の先生にご参加いただきました。

私もWODICメンバーの一人として現地にて参加し、拝聴して参りましたので、以下ご報告させていただきます。

2 社外役員就任のご経歴

古賀先生の最初の社外役員就任は12年ほど前で、そのときは顧問先企業から打診されたそうです。そこから、現在では、東証プライム上場企業から地場の中小企業に至るまで、合計4社の社外役員のご経験があるそうです。古賀先生は、多くの企業において社外役員に就任されていますが、その端緒としては、紹介や顧問先からの打診が多いとのことでした。

日頃、弁護士として企業の役員や担当者、他士業の方と関わる中で、法律知識、経験や人柄といったところを知ってもらい、信頼を得られからこそ、社外役員という役職が回ってくるということが多いのだろうと思いました。

3 社外役員の業務内容・業務時間・役割

古賀先生が社外役員を務めておられる会社では、その企業の規模等によって多少の差異はあるものの、基本的には、月に1度(中小企業であれば2か月に1度)の役員会に出席することであり、平均的に1,2時間程度の役員会議が行われるそうです。もっとも、全体の役員会の前にさらに監査役会や取締役会といった個別の会議での議論も含め、最も長いところでは1日合計で約10時間も会議を行う企業もあるそうです。

弁護士である社外役員の役割・業務としては、事前に議題を頭に入れて会議に臨み、法律のプロとしての視点から意見を述べるということが求められているとのことです。従来は、会社内部の意見や決定に対して外部の視点からブレーキをかけるという面が強かったそうですが、近年は、会社の意向を把握した上で、単なるリスク説明やストッパー的な役割を果たすのみならず、会社の一メンバーとして、法律上のリスクを説明した上で、各企業の意向を実現するためにどのようなことができるかという解決策や改善策といった具体的な提案をすることが求められることが多くなったと仰っていました。一方、中小企業等、経営者の個性や発言力の強い企業においては、社内役員では日頃の関係性上、意見しづらい部分についても強く意見をいうことで会社の軌道修正を行うことも求められるとのことでした。企業の規模や体質、事業内容、経営者の個性などによって求められる社外役員の役割が異なってくるというのは、さまざまな企業で社外役員を務めてこられた古賀先生ならではのご実感であり、一言で社外役員と言っても各企業の個性や性質を理解し、求められる役割を果たすところに難しさがあると同時にやりがいや面白みがあるように感じました。

また、弁護士という立場ではあるものの、経営陣に参画することについて、古賀先生ご自身は、あくまで専門的な経営判断については、経営のプロとして社外役員を務めている他の役員に任せてあまり深入りしすぎず、法律のプロという視点で意見をするということを仰っていました。また、社外役員として活躍するためには、ある程度の経営の知識は身に着けるべきではあるものの、財務に関する知識は相当奥の深いものであるため、全て自分で身に着けなければならないというものではなく、わからないことは周囲の役員に聞くことも重要であるとのことでした。法律のプロとしての誇りを持ちつつ、他の役員に対してリスペクトをもって、謙虚に接される姿勢にも学ばされました。私自身今後経験や年次を重ねても古賀先生のような謙虚さを忘れずにいたいと思った次第です。

4 社外役員になることのメリット

弁護士が社外役員をすることのメリットの一つとしましては、争点を素早くつかみ、企業の抱える問題の解決の糸口を考えるという視点やその解決策についてのエビデンスについても考えるという思考方法そのものも弁護士業務に活きるとのことでした。また、実際に企業の内部に入ることで、日々の紛争案件の背後の知識がわかるということもあるとのことでした。

弁護士の業務分野の拡大という意味において、社外役員という活躍の場があるということに加え、そのような分野に取り組むことによって従来の弁護士業務にとってもプラスになる経験を得られるというのは、(もちろん役員としての重責は負いますが)社外役員になることの魅力の一つであると思います。

5 弁護士が社外役員として活躍するために意識すべきこと・準備すべきこと

この点については、企業が営利活動を行うことに対しての理解があるかということが重要であるとのことでした。確かに、私自身、日頃の法律相談等では、無意識的に法的な検討やリスクの説明に傾倒してしまいがちですが、上記でも触れた通り、単なるリスク説明にならず、営利活動によって利益を生み出すということの意味を理解し、一定のリスクを背負ってでも利益を生み出すためにどんな手段を取りうるのかという一歩進んだ提案をできるよう意識を持って日々の業務に取り組もうと感じた次第です。

また、社外役員として活躍する機会を生み出すためにも、弁護士自身が法律的な専門知識だけでなく、最新のトレンド(最近だと、「環境問題」や「ダイバーシティ」等がアツいそうです)を踏まえ、自身の見解を積極的に発信するということも重要であるということでした。

また、弁護士は研修や会合等で積極的に外にでて、外部の人々と交流することが重要であるというお話は特に印象的でした。自分自身の強みやセールスポイントを作るために、積極的に法律以外についても知識を身につけ、それを外部に発信することや、外部の人々と交流をする中で、見聞を広め、人間関係を構築していくことも業務と同じぐらい重要なことなのだと改めて感じさせられ、色々と考えるきっかけをいただきました。

6 おわりに

「社外役員」については、講学上、当然知ってはおりましたが、どうやって社外役員になるのか、なったとしてどのようなことをすればよいのか、社外役員になるためにどのような準備や心づもりが必要なのかといった個別具体的な部分についてのイメージは持てずにおり、それ故に社外役員としてご活躍されている古賀先生の実体験に基づくお話を伺えたことは大変貴重な機会となりました。

私自身は、まだ弁護士1年目の見習いですので、万が一、将来的に社外役員というお役をいただけるとしてもまだまだ現実味のないことのようにも思っておりました。しかし、日頃の顧問先への対応一つ、企業における営利活動の意味合いを理解できるよう努め、法的なアドバイスに終始せずに企業のニーズにあったご提案をするなど、自分の業務に対して付加価値を付けられるよう日々意識することは、弁護士として非常に有益な視点であり、今からでも意識すべきことのように思いました。今回の講演会での学びを日々の業務に活かせるよう精進したいと思った次第です。


この「社外役員講演会」は連続講演会でありますので、今後も素晴らしい講師の先生方からご講演をいただけるものと確信しております。今回参加された皆様も、参加されなかった皆様も、ぜひ次回以降のご参加をお待ちしております。

あさかぜ基金だより

壱岐ひまわり基金法律事務所前所長 西原 宗佑(71期)

1 はじめに

私は、2019年1月よりあさかぜ基金法律事務所で約2年間執務し、2020年12月より長崎県壱岐市の壱岐ひまわり基金法律事務所へ赴任しました。この度、本年1月末で2年間の任期を満了し、3月より福岡県弁護士会へ再登録することになりました。そこで、一足早いですが、私から壱岐のこと、そして壱岐ひまわりで行った業務について簡単ですがご報告させていただきます。

2 壱岐とは?

まず、壱岐はご存じの方も多いかと思いますが、福岡市から約80km北北西に離れた離島で、福岡市内(博多ふ頭)からは、高速船でわずか約1時間、フェリーでも約2時間30分で向かうことのできる島です。人口は約2万5000人、面積は133.82k㎡でありまして、これは島内を一周するのに自動車で1時間程度走らせれば足りる程度の面積です。これだけ面積の小さな島に2万5000人の島民が暮らしている島になります。壱岐の主な特産物は、ウニ、壱岐牛や麦焼酎です。壱岐と言えばウニというくらいウニは多くの方に知られている特産品だと思います。ただ、壱岐で採れたウニの多くは福岡や東京などの都市部へ出荷しますので、島内でのウニの流通量が少なく、意外と島内での価格は割高です。そのため、島民の方でも頻繁に食べることはできないということでした。壱岐牛は、島外の方にはあまり知られていないかもしれませんが、後に神戸牛や松坂牛など高級和牛になる前の子牛として日本各地の畜産家の方が購入して飼育しているほど立派なもののようです。肝心の味ですが、壱岐牛は食べると肉の中にも柔らかく甘みがあるのが特徴で非常に美味しいです。

また、壱岐では麦焼酎も有名です。壱岐が麦焼酎の発祥地だそうです。実際、島内には麦焼酎の酒蔵が現在7か所あります。古代から稲作が盛んな地域ですので、麦焼酎が飲まれるようになったのではと思います。

このように壱岐は多数の方が第1次産業に従事されて生活されている状況です。

あさかぜ基金だより
3 壱岐ひまわりでの業務

次に私の壱岐ひまわりでの業務をご紹介します。私の2年間の任期中、事務所での総相談件数は255件、毎月1回の社会福祉協議会での出張相談を含めればさらに多くのご相談を担当しました。また、2年間の間に実際に新規で依頼を受けた件数も合計で121件に上ります。そのため、任期中の手持ち事件も平均して50~60件を同時進行しており、相談予約が1週間待ちとなることもありました。少なくとも任期中新件の仕事が来ないという期間は全くと言ってよいほどありませんでした。

事件類型としましては、離婚事件をはじめとした男女間トラブルの相談・依頼が圧倒的に多く、次に債務整理や相続が続きます。他方で交通事故や刑事事件は比較的少ない印象です。壱岐での一般民事の訴訟事件は、例年裁判所のワ号事件の事件番号が20までいくかいかないか程度の事件数です。さらに、壱岐ひまわりへの相談者は属性が偏っているかと思いきや、農家・漁師をはじめ、公務員、法人事業者、専門職などあらゆる属性の方からの相談を頂き、壱岐でもこれだけひまわりが認知され頼りにされているということが分かりました。このように弁護士過疎地域での弁護士の存在意義は都市部と比べて非常に大きいことが壱岐での弁護士業務のやりがいの一つになっていたと感じます。

他方で、壱岐のような弁護士過疎地域では利益相反が頻発します。壱岐ではひまわりと法テラスとの対立構造となることが多く、仮に3人以上の利害関係者が出現した場合には、利益相反の観点から3人目以降は島外の弁護士に相談依頼することになります。私の任期中でも過去に利害関係者からの相談を断らざるを得なかったケースも複数件ありました。また、利益相反とまでは言えないけれども、島内のコミュニティが狭いがゆえに依頼を受けている別事件同士の関係者が繋がってしまうこともありました。たとえば、私がある事件を受任中に、相手方から提出された資料から現れた利害関係者が他の事件の依頼者だったというケースもありました。このように、依頼者やその他の関係者間の人間関係が非常に近いということが壱岐の特徴だということも分かりました。

そのため、弁護士過疎地域の弁護士としては、利益相反、守秘義務に留意することが特に重要だと感じました。

近年九弁連管内ではひまわり事務所の定着化が進んでいますが、壱岐での定着はほとんど不可能ではないかと思います。先に述べたとおり、壱岐は離島かつその面積が狭いため、利益相反が頻発することに加え、事件関係者が繋がってしまう状況が頻繁に生じるため、定期的に所長弁護士が交代することでこうした事態を一旦リセットする必要があるからです。実際、壱岐ひまわりでは2代以上以前の所長が受けた事件記録を含む関係者情報は全て遮断して、後任所長のもとで新件として受任できるような体制を作っています。このように、壱岐ではむしろ定期的に所長が交代する必要があるとさえいえます。

4 壱岐での生活

次に私の壱岐での生活についてご紹介します。赴任当初は、コロナ禍まっただ中であったため、島外への移動も制限される状況でした。当初は壱岐でコロナの感染者が出れば、たちまち島内で犯人(感染者)探しが始まり、見つかれば島民から迫害をされてしまう状況になるといっても過言ではありませんでした。毎日夕方の島内一斉放送で壱岐市内でのコロナの感染者数が発表されていましたのでそのことも犯人探しに拍車をかけていました。そのため、私も島外に出て万が一コロナに感染したということが島内に広まればたちまち壱岐ひまわりの信用は地に落ちると思いまして、赴任当初は壱岐島外に出ることはなくひっそりと島内で生活していました。しかし、休日を壱岐で生活した場合、ショッピングモールや島内の飲食店などに出かけることになるのですが、休日のショッピングモールは依頼者の子どもたちの面会交流の場となっており、島内の飲食店の経営者が相手方だったり、仕事と関係のない飲食店に行っても事件関係者を見かけたりするため、休日も仕事の感覚から解放されることはなく若干の息苦しさを感じていました。壱岐は対馬や五島などと比べて面積が狭い島ですので、他の離島と比べても比較的このような事態が生じる頻度が高いのではないかと思います。

赴任1年目の終盤になって、ようやくコロナ禍も落ち着いてきて、島外に出るハードルが下がってきたので、私も島外への移動が多くなりました。私は単身赴任で壱岐へ行っておりましたので、気分転換のために福岡の妻のもとに帰る頻度も自然と増えていきました。

4 今後ともよろしくお願いいたします

赴任当初は不安だらけでしたが、ひまわり基金法律事務所を支えて下さる先生方を始め、あさかぜの時にお世話になった先生方からのサポートのもとで何とか2年間の任期を果たすことができました。壱岐ひまわりでは、私の後任の宇佐美竜介弁護士が昨年12月に着任しまして、本年2月6日に壱岐市内のホテルにて私から宇佐美弁護士へ所長を引き継ぐ引継式・記者会見を実施しました。引継式には日弁連の壱岐ひまわり支援委員会委員長や九弁連理事長、事務局長と長崎県弁護士会長が参加され、島内からは地元の新聞社等が出席されていました。また、同日に壱岐市長や商工会、検察庁や裁判所へ所長交代の挨拶にも行きました。このように、壱岐ひまわり所長の交代は島内では一大イベントとなっています。

今後は宇佐美所長の下で、壱岐ひまわりを存続させ、壱岐の島民のために頑張ってくれると思います。あさかぜ、ひまわりといった公設事務所は、会員の皆様のサポートをもって成り立っている部分も大きいですので、皆様におかれましても、どうか引き続きあさかぜをはじめとした弁護士過疎地域にかかるサポートをよろしくお願いいたします。今回の私の報告が皆様の弁護士過疎地域への支援における判断の一助になっていただければ幸いです。

あさかぜ基金だより

「福岡・釜山フォーラム」の報告

会員 山口 雅司(43期)

1 令和5年2月4日、韓国釜山広域市にあるロッテホテルにて、「第15回福岡・釜山(釜山・福岡)フォーラム」が開催されました(本来は令和4年11月5日の開催を予定していたのですが、ソウル梨泰院で発生した大きな事故の影響で日程が変更されていました)。

私が、当会の野田部会長とともに参加しましたのでその報告です。


2 さて、そもそも「福岡・釜山フォーラム」って何?と質問されそうですね。これまで余り広報されてこなかった印象は拭えませんが、重要な会合なので興味を持っていただければと思います。

端的にいえば、福岡市と釜山広域市に所在する企業や大学を主要な構成団体とする産学の交流と提言を行う場です(両方の市も若干の関与をしています)。

その歴史は、九州大学韓国研究センター(福岡市)と東西大学日本研究センター(釜山広域市)の学術交流の中で構想が浮上し、呼び掛けに応じた福岡・釜山両地域の産学関係者らが2006年9月に発足させたことに始まります。

その目的は、提言機関として、九州と朝鮮半島の間の海峡を挟んだ超広域海峡圏の経済的・文化的交流の促進と活性化を図ることです。

福岡市と釜山広域市は姉妹都市関係にあり、その距離は直線にして約200㎞(福岡市と鹿児島市との距離くらい)であり、朝鮮半島南部と九州北部とは遙か昔より大陸との往来の拠点となってきました。国家・民族・言語・文化などの垣根があるものの、両地域は共通課題を多く抱えています。福岡・釜山フォーラムは、そのような関係の両市の企業や大学の間で協議を行っているというものであり、ここ暫くは、首都圏への経済・人口の集中に対する地方の活性化という観点から、「福岡・釜山超広域経済圏」形成に向けた話し合いを行っています。

その構成団体は、福岡側では、JR九州、福岡商工会議所、西日本新聞社、九州大学、西日本シティ銀行、福岡県弁護士会、九州経済調査協会、テレビ西日本、住友商事九州、九州電力、福岡大学、ふくや(順不同)の12団体であり、釜山側では同様のカウンターパートナーとなる17団体が参加しています。

「福岡・釜山フォーラム」の報告

3 毎年1回、福岡市と釜山広域市で交互開催の全体会議を開き、福岡側ではその準備としてメンバー会議を年3~4回行っています。

ただ、正規メンバーは団体の代表者ということになっている点で、協議内容のレベルは高いのですが、他方で、年齢層が高く閉鎖的な状況であることは否めません(「もっと若い世代に開放したらどうか」と提案はしているのですが)。

福岡県弁護士会は、釜山地方弁護士会との交流を30年以上続けるとともに、福岡・釜山フォーラムのメンバーとしての交流も行っています(会長が弁護士会代表のメンバーとなり、原則として前会長が随行者として補佐役で参加しています。私が今回随行者として参加したのは、新型コロナの影響で、私が会長として参加した会議ののち2年間は会議が開けず、直前の会長での補佐が難しいという事情からです。)

「福岡・釜山フォーラム」の報告

4 今回の福岡・釜山フォーラムでは、福岡県弁護士会・釜山地方弁護士会を含めて両市の企業や大学の関係者などおよそ60人が出席して次のようなテーマで会議を行いました。

基調講演 「日韓観光活性化のための提言」

韓国観光公社 社長 金 長 實 氏

第1セッション 「釜山-福岡国際地産学協力構想」

釜山広域市 経済副市長 李 成 權 氏

福岡商工会議所 会頭 谷川浩道 氏

第2セッション 「未来志向の釜山-福岡次世代交流を考える」

株式会社ふくや 会長 川原正孝 氏

釜山経済振興院 院長 陳 良 鉉 氏


当会の野田部哲也会長は、第1セッションでの討論意見として日韓間の取引における法的障壁について述べ、釜山地方弁護士会の廉正旭会長は、第2セッションでの討論意見として日韓間の共通決済制度の提案をされました

会議前日の懇親会では釜山広域市の市長自らが出席し、会議当日には釜山広域市副市長、駐福岡大韓民国総領事が本人出席していますので、韓国側の気合いの入れようは推察できると思います。


5 福岡・釜山フォーラムでの行事として前夜および当日の懇親会が行われ、当会と釜山地方弁護士会との間では、このほかに釜山地方弁護士会の会長や理事など4名の方々との懇親会を行いました。

懇親会では雑談を取り留めもなくしているのですが、その中で、韓国から日本に行く留学生が減っているという話題がありました。新型コロナ問題の影響は当然にあるのですが、それよりも日本に行く魅力がどんどん無くなっている、なぜなら、民間企業の初任給は今や韓国の方が高いし、日本では外国人の将来のキャリア・ビジョンを描くことが難しいからという話しであり、かなり辛辣でした。

細かな話しは別の機会に譲るとして、今回の会議や懇親会での協議を通じて感じたことは、韓国の一生懸命さと成長、日本の現状認識の甘さです。私も含めて、日本全体が過去の「貯金」に頼っていて、人口は減る、経済力は低下する、世界の潮流に乗り遅れているのに、ただ何となく内向きに過ごしているのではないかということでした。


6 来年度(といっても今年、令和5年ですが)の福岡・釜山フォーラムは、11月11日(土)に、福岡市で開催されます。

この会議がどこまで多くの人に「開放」されるのかは分かりませんが、開催情報には注意をしていただければと思います。

「福岡・釜山フォーラム」の報告

2023年2月11日

初参戦!九州レインボープライド

LGBT委員会 寺井 研一郎(63期)

九州におけるLGBTQ+の祭典ともいうべきレインボープライドに参戦し、私がいかに当事者の置かれた状況を真に理解していなかったか、痛感しました。

1 はじめに

去る11月6日(日)、中洲にほど近い冷泉公園にて、九州におけるLGBTQ+の祭典ともいうべき「九州レインボープライド」が開催されました。毎年開催されているのですが、ここ2年はコロナのためオンラインでの開催にとどまり、リアルでの開催は3年ぶりです。そのためか、それともLGBTQ+に対する近年の社会の雰囲気の変化のためか、大変な熱を帯びた素晴らしいイベントとなりました。

2 九州レインボープライド概要
⑴ ブース出展

イベントは、団体や企業等40を超えるブース出展、歌手やダンサー、ドラァグクイーンによるステージイベント、そして、中洲や市役所周辺を周回するパレードから成っています。ステージイベントやパレードが楽しいことはもちろん、各出展ブースも充実したものばかりで、「わが社はLGBTに理解があります!応援しています!」という外面だけを装ったようなものは見受けられず、どれも内容を伴った本気の取り組みでした。私個人が最も印象に残っているのは、福岡コミュニティーセンターHACOという団体です。同団体はHIV/AIDSや性感染症の予防啓発活動を行っている団体であり、出展内容は、コンドームの普及啓発を意図した展示と、素敵なゲイセクシャルの方々との記念撮影会でした。終始にぎわっており、皆さんが笑顔で過ごされている様子がとても印象的でした。

初参戦!九州レインボープライド
⑵ 福岡県弁護士会ブース

我が福岡県弁護士会は、そのHACOさんの対面の位置での出展です。今年は、定番ののぼり旗に加え、レインボーカラーの看板などを用意しました。さすがにインパクトではHACOさんに負けていたかもしれませんが、LGBTQ+フレンドリーな団体であることは十分アピールできていたのではないでしょうか。出展内容は無料法律相談です。全部で10件弱の相談があり、継続相談につながったものもあったようです。私も数件担当させていただきましたが、LGBTQ+の当事者の生きづらさを象徴するような相談ばかりで、当事者がありのままの自分で過ごすことの難しさを痛感させられました。なお、一番悩まされた相談は、LGBTQ+とは関係ありませんが、小学生からの、どうやったら友達ができるか、という相談でした。私自身、小学生の頃には友達作りに苦労した覚えがあり、客観的な正解はもちろん、自分なりの回答さえ持ち合わせていません。どうしたものか、この1年で一番悩んだかもしれません。悩んだ末に当たり障りのない回答でお茶を濁しましたが、小学生の目を誤魔化せたかどうか、とても不安です。

初参戦!九州レインボープライド
⑶ パレード

メインイベントはパレードです。各々が自由な格好をして、音楽に合わせながら中洲の街を回ります。このパレードは、LGBTQ+に対する理解を求めるためのパレードです。いわずもがな人権問題です。私は、人権に関わるパレードである以上、当然、シュプレヒコールや横断幕などで主張を前面に押し出すのだろうと、そう思っていました。ですが、実際は、ただただ楽しむだけでした。街の景色を眺めながら、音楽に身を委ねて踊り歩き、道行く人に手を振り、時折テンションが上がって歓声を上げる。道行く人も、手を振り返したり、楽しそうに身体を揺らすなどしており、好意的に受け止め、一緒に楽しんでくれていたようです。

全体として、クラブイベントのような、ただの楽しい行進です。そこには、LGBTQ+に対する理解を求める主張どころか、なんらのメッセージも含まれていませんでした。私は、何故こんなことしてんだろう??と思いながら、まあ難しいこと考えんのやめて楽しもう、と、ただ楽しみました。

初参戦!九州レインボープライド
3 後日談 気づき

ブース出展、ステージイベント、パレード、いずれも、ただただ楽しかった、というのが当日の感想です。 後日、委員会の場で、いかに自分がLGBTQ+当事者への理解が足りていなかったのか、気づかされました。初めてレインボープライドに参加した当事者の方が、「本当に楽しかった。」と話していたというのです。楽しかったのは、私も楽しかったのです。ですが、当事者の方の「楽しかった。」は、おそらく、普段、自己表現や自己実現を望みながらも、悩み苦しみ、自分を隠して生活している中で、自分をさらけ出しても否定されない場を知ったこと、そして、その場に参加して、自分をさらけ出しながら、心の底から楽しめたこと、という文脈を含んでいたのです。考えてみれば、メッセージ性を持たないと思っていたパレードも、冷泉公園という閉じられた空間から、中洲という街に出ていくという点で、これ以上ない勇気ある行動です。LGBTQ+はここにいるよ!堂々と街を歩いてるよ!というメッセージそのものの行動だったのです。自分はLGBTQ+の方々に対して理解はある方だ、と思っていました。ですが、今回の参戦は、そうではなかったこと、自分が本当には当事者の置かれた状況を理解できていなかったことに気づかせてくれ、貴重な経験となりました。

4 終わりに

近年、LGBTQ+についての社会的な理解は広がっており、パートナーシップ制度を定める自治体は増加の一途を辿り、札幌地裁、東京地裁は同性婚ができない法律状態について違憲状態を明言しました。とはいえ、まだ、LGBTQ+当事者の中には、九州レインボープライドのような"特別な場"でなければ「本当に楽しかった。」と言えない方がいらっしゃいます。"特別な場"へ参加できない人も多くいらっしゃるでしょう。誰でも、"特別な場"でなくても、素直に「楽しい。」と言える社会を目指して、これからも活動を続けていきたいと思います。

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