福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2018年3月号 月報

公金の債権回収業務に関する法務研修(福岡開催)の実施報告 ~行政連携に関する新たな取り組みとして~

月報記事

弁護士業務委員会 福山 聖(64期)

1 はじめに

平成30年1月26日(金)午前10時~午後5時、電気ビル共創館3階A会議室において、総務省行政管理局公共サービス改革推進室と当会が主催、日弁連が共催し、九州全域(沖縄を除く)の自治体職員を対象として、「公金の債権回収業務に関する法務研修」を実施しました。当日は、自治体職員106名、弁護士33名(他会含む)の方に参加いただきました。

公金債権は、強制徴収公債権(地方税等)のみならず、たとえば、母子父子寡婦福祉資金貸付金といった私債権等も含まれます。債権管理にあたっては、費用対効果という「効率性」の観点だけでなく、「公平性」・「平等性」等の観点や福祉的配慮等も考慮する必要があるという特徴も有しています。今回は、そのような債権の管理に関する本研修について、ご報告いたします。

2 研修について
(1) 総務省・各自治体・当会の取組報告等について

午前の部は、作間功会長の開会挨拶に始まり、総務省・福岡県・福岡市・中間市・当会の各公金債権回収業務に関する取組等について報告が行われました。各自治体の取り組みは、それぞれ工夫がなされており、たとえば、色付きの督促状を使用する等、私たちの業務でも参考になるものもありました。

当会の取組報告(報告者:当委員会森山大輔委員長)では、行政との連携メニュー(http://www.fben.jp/gyousei/)、任期付き公務員や当委員会の活動予定等について紹介がありました。

(2) 公金の債権回収に関する法令と実務(前編・後編)について

午後の部前半は、当委員会副委員長・日弁連自治体等連携センター委員の服部博之委員による2時間の講義が行われました。条文や裁判例集、資料を使用した講義は好況で、アンケートでは「全部参考になった」「もっと時間をかけて講義をしてほしかった」等、参加職員の9割以上から「参考になった」という結果をいただきました。

なお、当日の配布資料は、近日中に、総務省のホームページで公開予定ですので、ご覧いただけると幸いです。

(3) 意見交換会について

午後の部後半は、今回のメインイベントである意見交換会を1時間半、2会場に分かれ実施しました。意見交換会は、参加者が18グループに分かれ、各グループ6~8名の自治体職員に対し、弁護士が1~3名担当者として入り、自治体職員と弁護士(会)との間で、公金債権回収に関する自治体職員の日々の悩み等を共有し、交流することで、弁護士(会)との接点をもってもらう機会として実施しました。

参加職員、担当弁護士の双方から、充実した時間であったという感想を伺っており、当委員会では、公金債権管理に関する取り組みを始める良いきっかけになったのではないかと感じております。

3 懇親会について

同日午後5時30分からは、ビストロアトリにおいて、自治体職員の方も交え、懇親会を実施しました。自治体職員の方も14名出席され、研修に引き続き、交流を深める時間となりました。

4 最後に

今回、企画から実施までの約1年間、日弁連自治体等連携センター委員として、本研修を担当し、貴重な経験をさせていただくことができ、心から感謝しております。昨年4月、当委員会で、本研修について報告・提案をさせていただいてから、服部博之委員を研修責任者として、牟田遼介委員と共に本研修PTを組み、事前勉強会等を経て、研修実施に至るまでの間、甲斐田靖副会長、森山大輔委員長、当委員会の先生方、牟田哲朗先生や小野裕樹先生を筆頭とする当委員会外の先生方、他県の先生方、担当事務局の福井さんをはじめ、多くの方に、お力添えをいただきました。

そのお力添えのおかげで、無事に、盛況のうちに、本研修を終えることができました。参加者満足度の高い研修であったことは、アンケート結果からも明らかですが、研修終了後、自治体職員の方々から直接伺った感想や拝見した笑顔を通して、実感することもでき、貴重な体験となりました。

この場をお借りして、準備から実施まで、当方の至らぬ点多々あったことにつき、お詫び申し上げるとともに、多くの方にご協力いただけたこと、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

当委員会では、本研修をきっかけに、新たな取り組みの一つとして、公金債権管理に関する自治体職員向けのメール相談等検討しております。今後も、行政連携の分野においても、弁護士をもっと身近に感じてもらえるように、弁護士を活用してもらえるように、努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

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