福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2016年11月号 月報

「実務に役立つLGBT連続講座」第3回/周りの人との接し方、注意点

月報記事

両性の平等委員会・LGBT小委員会 久保井 摂(41期)

LGBTは巷間ありふれた「個性」

この連載では繰り返しこの社会内にいかに多くのLGBT当事者が生活しているかについて言及してきました。ある試算によれば少なくとも7.8%、つまり12~3人にひとりはLGBTの特性を持っているということになります。ですから、LGBTは極めてありふれた「個性」なのです。

けれど、多くの方は、プライベートにおいて、LGBTであることを明らかにして生活している当事者と接した経験を持たないのではないでしょうか。かくいう私もそのひとりです。弁護士としての執務において当事者と接する機会はありましたが、この活動に加わるまで、個人的にLGBTを公言している方と交流する機会はありませんでした。

二桁以上の集団であれば必ず当事者が紛れ込んでいるはずなのに、どうしてそんなことになるのでしょうか。

当事者はあなたの活動空間で生活しています

実は、その事実こそが、LGBTの方々が抱えている困難を端的に示しています。

近年、急速にLGBTに対する社会の理解が進んだように見え、LGBTフレンドリーであることを明らかにし、積極的にその支援を掲げる企業が増えてきましたが、それは社会全体から見るとほんの一部での動きに過ぎません。私たちの住む社会の大半の構成員は、未だにLGBTについて「奇異な」イメージを持っている状況にあります。

ですから、多くの当事者はLGBTであると知られることを極端に懼れます。それによって仕事を失ったり、住居から追われたり、いじめられたり、家族との関係が悪化したり、多くの当事者が実際にいくつもの辛い体験を持っています。だからこそ、当事者はその個性を知られまいと自らを偽って生きていくことを強いられることがしばしばです。

自分が生きていく上で最も本質的なLGBTという個性をひた隠しにして生きていかなければならないこと、それ自体、当事者が抱えさせられている深刻な差別被害なのです。

この被害を解消するには、社会全体がLGBTを正しく知り、ありふれた個性として受けとめるものへと変わっていかなければなりません。今、いろんな形でそのための取り組みがはじまっているところですが、私たち小委員会も一定の役割を果たしたいと思います。

それはともかく、まず私たちにできることは、自分が活動している空間に「必ず」LGBT当事者が生活しているのだということを知ることです。日本にも、LGBTであることを明らかにして活動している弁護士が何人か知られていますが、弁護士の中にも多くのLGBT当事者がいるはずなのです。ところが、世間にはLGBTに対する差別的な「ことば」がはびこっています。自覚的でなければ、無意識のうちにそのような言葉を口にしかねません。あなたがそんな言葉を発したとき、それを耳にした当事者はどんな思いをするでしょうか。

ですから、いついかなる場合でも、LGBTに差別的な言葉や表現を用いることのないように心がけたいものです。日頃のそうしたふるまいこそが、LGBT当事者への支援となります。

アライ(Ally)になろう

アライとは、同盟、支援を意味する英単語です。自身はLGBTではないけれど、LGBTを理解し、当事者を支援したいというサポーターのことをアライと呼んでいます。LGBT当事者の権利確立のためには、既に述べたように社会全体を変えていくことが必要ですが、アライが増えていくたびに、LGBT差別のない社会に近づいていくのですから、アライを増やしていくことは重要です。

でも、仮にあなたがアライと自覚していたとしても、それだけでは当事者への呼びかけにはなりません。そこで、より積極的に「私はアライですよ。ありのままのあなたでいてよいのですよ」とアピールする方法として、「レインボーフラッグ」(赤、橙、黄、緑、青、紫)があります。LGBTに対する差別偏見の激しかった1970年代のアメリカでゲイ当事者によって命がけで掲げられたフラッグで、今も多くのLGBT当事者や支援団体は、性の多様性等を象徴するこのレインボーをシンボルとして使用しています。

レインボーフラッグを示すシールやワッペン、ストラップなどを身に付けていると、当事者に対しては「私はアライですよ」というメッセージになります。みなさんもレインボーを身にまとって、当事者を応援してみませんか。

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