福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2015年9月号 月報

あさかぜ基金だより あさかぜにおける養成について

月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士
中 田 昌 夫(67期)

私が、あさかぜ基金法律事務所に入所してから、9か月がたちました。
当事務所での養成期間は、だいたい2年程度と言われているので、すでに養成期間の3分の1ほどを終えたことになります。月日の経過の早さには驚かされるばかりです。
今回は、当事務所での養成の実情について、これまでの活動を振り返りながら、ご紹介させていただきたいと思います。

まずは、受任事件を通じた養成活動についてです。
弁護士過疎地においては、弁護士の数が少ないため、多種多様な事件が持ち込まれることになります。
そのため、当事務所の弁護士は、弁護士過疎地への赴任を見すえ、さまざまな種類の事件に対処する能力を養う必要性があります。
そこで、当事務所では、弁護士が法律相談等を通じて事件を受任するほかに、外部の事務所の弁護士に協力していただき、共同受任事件を通じて幅広い種類の事件を受任することができるよう、配慮いただいています。
ことに共同受任事件においては、一緒に担当させていただいている弁護士の活動を拝見しながら、事件処理の奥深さを実感するとともに、多くを学ばせていただいています。
たくさんの弁護士にご指導、ご協力をいただき、日々、感謝の気持ちで一杯です。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

次に、事務所経営に関する養成についてです。
当事務所の弁護士は、事務所の経営についても、主体的に取り組んでいます。
赴任先において、事務所の経営や顧客開拓がうまくいかなければ、事件処理がとどこおり、法的救済を必要としている人々の依頼に応えられないことになりかねません。また、赴任先において、事務所の経営を安定化させ、広く顧客を開拓することができれば、弁護士過疎地域への弁護士の定着がより容易なものとなるからです。
具体的には、毎月、事務所内で会議を開き、キャッシュフローのデータを確認しながら、事務所の経営改善のために、どのような点を留意するべきか、どのような工夫ができるか、意見をかわしています。
また、広報や、受任ルートの開拓、事務局や弁護士の採用活動について、外部の事務所の弁護士からアドバイスをいただき、試行錯誤を重ねつつ、取り組んでおります。

こうして、当事務所における養成の取り組みを振り返りながら、改めて、貴重な機会をいただいていることを実感いたします。
もっとも、限られた時間の中で、どれだけのことを学び取れるかは、被養成弁護士の目的意識と積極性にかかっているものと考えます。
そうした目的意識や積極性を常に維持するうえで、弁護士過疎地へ司法サービスを供給し、法の支配の貫徹に寄与するという、同じ目標をもった被養成弁護士とともに、切磋琢磨できるという事務所の環境もまた、えがたいものだと思います。
養成の成果を、弁護士過疎地において結実できるよう、初心を忘れることなく、これからも精進を重ねていきます。

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