福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2015年1月号 月報

武装より女装 ~集団的自衛権の市民集会に参加して~

月報記事

会 員 吉 原 育 子(64期)

1 はじめに

去る昨年11月22日、福岡県弁護士会主催の「憲法違反の集団的自衛権について考える市民集会」に参加させていただきました。

非常に熱気あふれる集会でしたので、年をまたいでその熱気をリポートさせていただきたいと思います。

2 熱気あふれる集会

集会は、福岡市・天神の都久志会館で行われました。

まず、会場に行って驚いたのは、640名弱入る会場が満席でロビーまで人があふれていたことです。参加されている方々の顔ぶれを見ましても、弁護士会以外の一般市民の方々が多く見受けられたように思います。

集会の第一部は、東京からお招きした憲法学者の青井未帆教授と小林節教授の講演でした。講演は、憲法の根本に立ち返った内容であり、かつ非常に明快な内容でした。

第二部は、パネルディスカッションが行われました。

先の講師のお2人に加え、高校生1名、大学生2名及び社会人代表として、いのうえしんぢさんがパネリストとして加わりました。

いのうえしんぢさんは、イラストレーターで、今回の集会のチラシのデザインをして下さった方です。添付の写真のとおり、人目をパッと引くデザインで、今回の集会に彩を与えてくださった立役者でもあります。

ディスカッションは学生らしい率直な意見が交わされました。

非常に耳に残ったのは、「将来、私達が戦争に参加しなければならない。」「私たちはまだ選挙権がない。」(高校生)、「集団的自衛権行使容認の閣議決定はいつの間にか決まってしまった。民主主義とはいえない。本来、憲法は権力者を抑止するものであるはずだ」(大学生)などという言葉です。今回の問題の本質をついた意見が出され、会場は熱気に包まれました。

3 武装より女装?!

会場を沸かせる名言もありました。

いのうえさんは、イラストレーターだけでなく、自らの主義・主張を奇抜なファッションでパレードやデモにて表現してきたそうです。そして、「普段から意思表示をすることが大事。」「武装より女装だ」と。

「武装より女装」の言葉に会場からはドッと笑いが起きました。小林教授も暗い話題が明るくなる、といのうえさんの言葉に共感されていました。

いのうえさんからは、表現の自由が奪われたことが戦争につながったという指摘もありました。憲法21条で保障されている表現の自由の重要性を改めて感じることのできたディスカッションでした。

4 DJパレード

熱気も冷めやらぬうちに天神を闊歩するパレードが始まりました。このパレードは、通常のパレードとは少し趣きが異なり、今どきの音楽に乗せて、若者がDJ風に「戦争反対!」「9条壊すな!」という掛け声をしながらパレードするというものでした。

ちょうど三連休の初日であったため、天神周辺の人通りはかなり多かったです。

携帯電話で写真を撮っている方を何人も見かけました。私も、当日の突然のオファーにより、なぜかよくわからないまま(?)博多ぶらぶらの衣装を着てパレードに参加しました。

5 今回の集会の大いなる意義

今回の集会とパレードの実施は非常に意義の大きいものであったと思います。「集団的自衛権」という言葉自体難しく、今、政府が何をしようとしているのか一般国民には分からないことが多いです。

しかし、だからこそ、この問題を肌で感じることが重要であると思います。そういった意味で、今回の集会は、次世代を担う高校生や大学生が参加し、またパレードも若者に向けたメッセージ性の強いものであり、市民の方々に与えたインパクトは強かったと思います。

「集団的自衛権」という言葉はどうやら昨年のユーキャンの流行語大賞を受賞したようです。しかし、一過性の話題に留まるだけでは意味がありません。 私たちや私たちの子ども・孫の世代が決して外国の戦争にいくことのないよう、さらなる活動が必要であると切に感じた市民集会でした。

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