福岡県弁護士会コラム(弁護士会Blog)

2002年12月号 月報

「女性の権利110番」実施報告

月報記事

山崎あづさ

10月26日(土)、12回目となる「全国一斉女性の権利(女性に対する暴力)110番」の電話相談が行われました。

これは、日弁連両性の平等に関する委員会の設置15周年を記念して1991年から始まったものであり、毎年4月の「女性週間」にちなんで実施してきました。「女性週間」というのは、1949年から2001年まで、日本の女性が初めて参政権を行使した1946年4月10日を記念して、毎年4月10日から16日までの1週間を、「女性週間」と定め、女性の地位向上の啓発活動を行ってきたものです。

今年は、DV法実施1周年を10月13日に迎えるのに伴い、「女性に対する暴力」を相談内容の中心に据えて、10月に実施されることになりました。

今回も、ドメスティック・バイオレンスをはじめストーカー、セクシュアル・ハラスメント等、女性が抱える問題についての相談に応じるため、6人の弁護士が午前、午後に分かれて担当しました。

この日の相談は17件でした。回線が2つしかなく、しかも一つの相談が内容上どうしても長くなってしまいがちなので、電話をかけたけれどもつながらなかった方もいたと思います。

相談内容としては、離婚にまつわる相談が7件、うちDV(心理的暴力を含む)が4件、ストーカーが2件、一般的な知識を尋ねるものが2件、その他(趣旨違い、趣旨不明)が6件でした。中には、直前に夫から暴\力を振るわれて家を飛び出したケース、夫から包丁を持って脅されたケースもあり、このような場合はDVについての相談や保護を行っている各種関係機関の連絡先を伝え、できるだけ次の機関につなげるように対応します。DVの場合、弁護士が保護命令申立をするにしても、女性相談所や警察などの協力が必要になりますし、被害女性自身が一人では対処できない場合が多いので、他の機関との連携というのが重要になってきます。

DVの相談を受けていて思うのは、ひどい暴力を受けていても、まわりから「我慢しなさい」と言われたり、助けを求める方法を知らなかったりということから、暴\力に耐えるしかないと思いこんでしまい、そのためにさらに暴力が日常化していくような面があるということです。今回の電話相談で表\れたケースは本当に氷山の一角であると思いますが、こうしてできるだけ多くの窓口を用意することで、被害を受けている女性が相談できるきっかけを作ることが大切だと思います。

今後とも、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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ヤミ金融根絶を目指す決議 〜九弁連定期大会にて〜

月報記事

石田光史

1 去る10月25日(金),熊本市内のホテル日航熊本において,第55回九州弁護士会連合会定期大会が開催されました。その大会の中で,当会の提案により「ヤミ金融根絶を目指す決議」がなされましたので,ご報告いたします。

2 決議の内容・提案理由等については,全会員に配布される大会議事録をご確認いただきたいと思いますが,決議内容を簡単に要約すると,1.弁護士会としてヤミ金対策を実施するとともに,警察や行政機関などとも連携を取りヤミ金根絶のための活動を行う,2.ヤミ金による超高利の違法な貸付に対しては「返済しない」という基本方針で臨む,ということです。

4 しかし今回,当会があえてこのような内容の決議を提案したのにはもちろん理由があります。

1つには,ヤミ金を根絶するためには,単に捜査機関や行政機関に取締を求めていくのみでは全く不十分で,弁護士が個々の事件処理の中でヤミ金に対して経済的打撃を与えていくことが絶対に必要であり,そのためには「返済しない」という方針を九弁連全体に周知する必要がある,ということです(関係機関との連携等と個々の事件の適切な処理は,ヤミ金根絶を目指す上で車の両輪と考えます)。\n

もう1つ,ヤミ金事件を扱っている会員(特に若手の会員)は,みなヤミ金に手を焼いています。そのような会員に,ヤミ金と対峙する上での武器・拠り所を提供したかった,ということがあります。九弁連で「ヤミ金には返済しない」という決議がなされたということになれば,ヤミ金から「何で返さんのか!」とすごまれても,「いやあ,九州の弁護士の集まりで,返済しないってことになってねぇ。私だけ返すわけにはいかんやろ?」と切り返せます(この点,佐賀県弁護士会の平山泰士郎先生が,賛成討論の中でユーモアたっぷりに指摘されました。)。不適切な対応をした警察に対しても,「九弁連では返さないという方針を確認した,なのに『借りた物は返せ』なんて指導するとは何事だ!」と文句が言えます。そして何より,「返さないという方針は,自分だけがやっていることではなく,九弁連決議という土台があるのだ。」と思えることは,ヤミ金との交渉の際に心理的・精神的な拠り所となるのではないかと思います。

本提案は,我々のこれらの意図を会場の各会員にご理解いただき,圧倒的賛成多数で決議されました。

5 我々は決議提案をするに際して,単に取組みを表明するだけの決議ではなく,実務に「使える」決議にしたいと考えました。もちろん決議自体に会員に対する拘束力はありませんが,ヤミ金根絶のため,「使える」本決議を十\二分にご活用いただき,「ヤミ金に対して返済しない」という方針でヤミ金事件の処理をしていただきたいと思います。

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情報化の波にのれない私

月報記事

田中裕司

今までのホームページ委員の先生方のコラムはネットやメールの活用法の紹介等があり、「すごいな」と思わせるものばかりでしたが、HP委員の幽霊部員である私は、今回あえて消極的にITのデメリットについて思いつくままにしゃべらせていただきたいと思います。

とはいうものの、私の事務所は税理士との共同事務所ということもあり、メール・ネットはもちろん、判例検索、ファックス送信まですべてパソコンで行うほどIT化は進んでいますし、私も日常業務・プライベートでは「便利になったなあ。」とその恩恵をうけることが多くあります。しかしです。なぜか心底パソ\コンと親しくすることができません。「好きになりたいのだけれど、心のどこかで冷めている。」そんな相手です。なぜかな?と考えてみました。

まず、最近食べ過ぎで肥満になっています。なにやらメーリングリストなる情報交換の場が急激に増えて、毎日莫大なメールの量に圧倒されているのは私だけではないはずです。最近はチェックするのが億劫で空けないメールがほとんどです。重要なのがよくわからないし、出欠確認のメールなんかだとごちゃごちゃで何がなんだか分からなくなります。さらに、見るだけで時間をとって仕事になりません。情報交換の趣旨であれば、掲示板のほうが有効に思います。メールはあくまで1対1の伝達方法として考えた方がいいようです。

それから、気まぐれで私の相手を拒否することもあります。復帰するのに相当時間をとります。私は荒いので、忙しいときにバグったりすると、ムカついてキレて電源を切ったり、コンセントを抜いたりするなどの暴行をします。でも、カーッとなった後、冷静になり「大丈夫かな。」と反省の念にかられながら電源をつけてみて大丈夫だと「もう二度としないから。」と更生を誓うのです。(しかし、また再犯を犯してしまいます。)

それから、けっこう口がかるくたくさんのひとにいろんなことを言ってまわります。「〇チャンネル」なる掲示板では誹謗中傷だらけで目を覆いたくなります。知っている人も載せられた事があり、すごい嫌な思いをしたそうです。さらには、ネット犯罪なるものも最近流行しており、われわれの仕事においても他人事では済まない被害が発生するおそれもあります。

そして、これが好きになれない最大の原因だと思うのが、愛情がないということです。個人的なやりとりについては、やはり手書きの方が味があって、なんとも知れないいい気持ちになります。最近は、年賀状やあいさつ状もワープロ字でなんか楽になったけど昔の手書きの暖かさにはかないません。さらには、メールや掲示板でコミュニケーションをとっていると、一方的に話をするものですから、意図を上手く伝えられなかったりして、誤解を生じたり、怒らせたりすることもありますね。

それとやっぱり図面から光を放っているので、目に優しくありません。

そんなこんなで私はまだ、心底好きになれないのです。

あっ1つだけ最近いいことがありました。これまで年に1回話すかどうかという疎遠な弟が海外に仕事で行っているのですが、メール、インターネットでやっと兄弟の国交が正常化して、会話ができるようになりました。

我々兄弟にとっては、「仲裁人」のようですね。

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釜山弁護士会との懇親会 

月報記事

南谷敦子

今年も釜山地方弁護士会の弁護士の皆さんが、ご夫人とともに福岡にいらっしゃった。この交流会・懇親会は今年で一二年目になる。毎年福岡県弁護士会の会員も春に釜山を訪問し、盛大なる歓待を受けているときいている。私も経験があるが、韓国に行ったことがあるという人の話を聞くと、たいてい、たいへん素晴らしい接待を受けたということが多い。という訳で、福岡県弁護士会も負けられないと思いながら、国際委員会メンバーを中心に交流会や懇親会の準備をさせていただいた。

平成一四年一〇月一八日金曜日午後、皆さん福岡にご到着。夕方からシーホークで交流会が始まった。国際委員会の内田敬子会員の司会で、テーマは2つ、家庭内暴力の防止関連法規と韓国での金利規制で、日本でもホットな問題だ。前者は釜山の文興晩弁護士から、後者は朴瑛柱弁護士からご報告いただいた。

さて、実は私はこの交流会の間、ご夫人方を観光バスで小戸のマリノアまでご案内し、東洋一の大きさだという観覧車に乗っていた。

マリノアにはアウトレットショップがあり、私も観光案内という職権を利用して買い物でもしようとそわそわしていたのだが、この日はスマップのコンサートで交通渋滞が予想されるとのことで観覧車に乗っただけでシーホークにとんぼ返りだった。

懇親会は午後七時から、国際委員会の紫牟田洋志会員の司会で、福岡県弁護士会会員のご夫人も参加して始まった。日韓の弁護士がテーブルを囲み、通訳がついた。テーブルでは皆、お互いのことをもっと知りたい、でも言葉が通じない、通訳は一人しかいない、というので通訳を奪い合っての懇親会だった。お酒が入るにつれ会はますます盛り上がり、日韓マイクを奪い合ってのスピーチ合戦も始まってとても楽しかった。通訳を通じてなので、各国の笑いには時差があった。釜山弁護士会元会長の金 基弁護士が、会長でいらした国武格会員や荒木邦一会員と過去ずいぶん飲んで盛り上がった話をされ、歴史ある釜山との交流の深さをしみじみと思った。今後、釜山弁護士会と福岡県弁護士会は中国・大連の弁護士会との交流も進めていくとのこと。釜山の会員名付けて「三角関係の構築」(会場笑)。また、太田晃会員と松井仁会員は、見事な韓国語でスピーチをされ、釜山会員には大受けであった。

最後に釜山弁護士会からおみやげの「絵」をいただいた。とても立派なもので、曰く「韓国の有名な作家による貴重な作品」だそうだ。これに対応して、福岡県弁護士会からもおみやげの「有田焼の絵皿」をお渡しした。有田焼は日本の焼き物の原点なのであるが、「くやしいことに」その有田焼の原点は朝鮮にあるのだ・・とは南谷洋至会員のあいさつ。これもまたたいへん美しい絵皿であった。

こうして、盛大に会は幕を閉じた。

釜山の皆さんは、翌日から新幹線で広島・四国へと旅立たれるそうで、強行軍だ・・。

終了後、通訳をして下さった皆さんは御馳走を前に腹ぺこ状態であったので、一緒に二次会をすることとなった。皆さん、大塚芳典会員の一声でお集まりいただいた方々で、福岡の専門学校や大学で勉強されている「新進気鋭」と呼ぶにふさわしい学生達だ。今回の会ではたくさんの法律用語が飛び交い(「当番弁護士」「法律扶助」など)、通訳はとても難しかったが非常に勉強になった、もっと勉強したい、と紅潮した顔で話しており(酒のせいか?)、韓国の若者のエネルギーは素晴らしいなあと感心した。その後、  メールアドレスの交換などしつつ、私も日韓交流を目指すこととした。

外国の法律家と交流する機会があるときにいつも思うのは、折角知り合えた方々と本当に長く交流することができたらなということだ。どうしても一過性の飲み会でちょっとかじっただけの付き合いで終わってしまいがちで残念なのである。今回、金 基のご夫人が英語を話し、「同じ年頃の娘がいるのよ」と、私にとても親しく接して下さったことが忘れられない。この出会いを大切にしなければ・・・

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九弁連大会シンポジウム 川と海を考える〜環境保全と住民参加〜 

月報記事

吉野隆二郎

1 さる10月25日の第55回九弁連大会に先立ち、午前9時30分からホテル日航熊本において表記の内容のシンポが行われました。今回のシンポについては、環境問題がテーマとして選ばれたうえに、その内容としても「川から海を考える」というタイトルからもお分かりのように、複数県にまたがる有明海・不知火海・筑後川・球磨川などが調査の対象となりましたことから、これまでの九弁連大会と異なり、開催県以外の単位会からも実行委員が選任されるということになりました。私は、福岡県弁護士会の公害環境委員会の副委員長として、このシンポの担当となり、その準備のために他県の委員としては最も多い回数、熊本との間を往復しましたので、その舞台裏を含めた報告をさせていただきます。

2 最初にこの実行委員の話が来たのは、2月8日の日弁連・九弁連等の共催の泡瀬干潟のシンポジウムのときでした。本年は、日弁連の人権大会のシンポにおいても湿地保全が1つのテーマと選ばれていたことや、ここ2年九弁連として泡瀬干潟の問題に取り組んでいたこともあり、その時点で福岡からは私と長戸弁護士が委員となることが事実上決まりました。

3 7月6日には、シンポのパネラーになっていただいた山村氏・福岡氏を講師にまねいて勉強会を開催しました。当日は、強風により鳥栖・久留米間で特急が止まるというアクシデントがあり、1時間以上勉強会に遅れてしまいました。

4 実行委員会に参加し、コンセプトについての議論を聞いたうえで、福岡県弁護士会公害環境委員会として、7月17日に筑後川の視察を行いました。この詳しい内容につきましては、私と長戸弁護士がシンポの報告書に執筆をしておりますし、月報9月号でも福留修習生が報告をしておりますのでそれを参照していただきたいと思いますが、私の感想としては、過去の計画とは言え、管理者側と漁民との捉え方のズレが大きいということでした。

5 8月31日には九弁連としての諫早視察にも参加しました。この日も台風が接近した日であり、雨が荒れ狂う中で大浦漁協の調査・諫早湾干拓の現場の視察・川副漁協との意見交換会などを行いました。この中で最も心に残っているのは、大浦でタイラギがまったくとれなくなったことなどを組合長の竹島氏から率直に語っていただいたことです。

6 実は上記以外の実行委員会のときにも、鹿児島方面で強風のため、特急が1時間以上遅れて熊本駅で待たされるというアクシデントが1回ありました。この実行委員の仕事はまさに自然任せの状況でありました。

7 シンポの詳しい内容につきましては省略させていただきますが、省庁の縦割りの弊害というべきでしょうが、川と海を1つの水系として捉えて全体の環境を保全していくという視点が不足していたのではないか、また、流域の住民が意見を言う制度も欠けていたのではないか、ということが一番の感想です。そして、その視点は大会の宣言へと結びつきました。

8 大会を前後して、諫早湾干拓事業の再開の問題や、泡瀬干潟の工事の着工などが新聞紙上をにぎわすようになりました。日弁連が反対の意見を出したこれらの事業につき、今後も、県弁及び九弁の環境問題の委員として、これらの大きな問題に関与していきたいと思っています。

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