福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2002年6月号 月報

「お道具箱」をミラクルにするには

月報記事

久保井摂

強迫により叩く

私にとってパソコンとその周辺機器は「記憶装置」だ。何せ頭がおんぼろなので、メモしとかないと、貴重なお話も聞いた端からこぼれ落ちるままぽろぽろ失われてしまい、あとで再現しようとガンバッてみても空しいのみ。

なので、あちこちで強迫的にキーボードを叩いている(ホント、苦手な人には耐えられぬ音を立てていると思うのです。申し訳ない)。おかげさまで、速記的キーボードパンチャーとなってしまった。

コトハジメ?

いつ頃からこうなったんだろ。ん〜たぶん、我が師辻本育子に「書院ミニ」を持たされ、後に報告集を編むためパチパチと打った1994年の海外視察あたりからか。それから今日まで、記憶できない様々を記録するため、日夜キイを叩いている。

このテクがもっとも活躍したのは、ハンセン病違憲国賠訴訟でのこと。療養所に、最初はモバイルギア初代機を、次にはLet's note miniを、またTeliosをと持ち込んで(つまり次々に壊れたとです。今は判決直前に購入したLooxを使用)、原告の言葉を語るままに打ち込み、やがて咀嚼して陳述書にまとめた。

この訴訟は、色々な意味で画期的だったが、電子メールが活用された最初の集団事件のひとつだという評価もできる。とりわけ勝訴判決から控訴断念による確定までの二週間、ネット環境が果たした役割は大きかった。判決の直後、弁護団員は全国に散り、それぞれがモバイル機を手に、時々刻々と変化する情勢をにらみ(国会に待機する弁護団から「本日の仮処分」なる情勢報告メールが届き)、指示を受けて効率的に動いた。

日常における電脳

ええと、このエッセイ、どうも先駆的電脳実践者として何か書けということらしいのである。

確かに私は、比較的早い時期からパソコン利用してはいるけど、特に際だった使い方をしているわけではない。ものぐさなので、ソ\フトも適当に使うばかりで、きちんと勉強しようとか、マクロ使おうとかしてないし。だから、うちのパソはどれも本来なしうる能\力の万分の一にも満たぬ使い方しかされておらず、まこと気の毒である。「患者の権利法をつくる会」のニューズレターをつくったり、ホームページをアップしたり(それもクラリスホームページなどてふ淘汰されたソフトを使用している)、あとはほのぼのとイラストを描いたり、Gifアニメをつくってみたり。

で、例に漏れず夜中にぱちぱちとフリーセルに耽ってみたり。

ううむ、インターネット検索で情報取り込んで事件処理に利用するなんていう、当たり前のことをここに書いてみても仕方ないしなぁ。

つまりは、不器用すぎるので、このお道具箱に頼ってるってこと。

HP委員会なるもの

さて、HP委員会とやらが立ち上がり、メーリングリストも開設され、何だかお喋り倶楽部のようにざわめいている。お前も電脳に頼るひとりとして協力しなよと頭数に入れられてしまったが、難しいことを考えたり表に出たりするのは苦手なのだ(会務もさぼりっぱなしだし)。でも、弁護士会のホームページが充実して、会員のためにオイシイ情報や資料に簡単にアクセスできたり、痒いとこに手が届くようなリンク先に飛べたりするとウレシイのではある。そんなグラマラスで使いやすいホームページの完成を祈る私ではあるが、ここはひとつ、茶でも啜りつつ、みなみなさまの賑々しいやりとりを、うちのべりいちゃん(ブルーベリーiMacである)のモニター越しに見守ることとしよう。

みなさま、楽しいアイデアをよろしう。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー