弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

世界史(古代オリエント)

2007年5月23日

シュメル人たちの物語、5000年前の日常

著者:小林登志子、出版社:新潮選書
 シュメル人とは、どこからやって来たのか分からない民族系統不詳の人々である。シュメル語は、日本語と同じように、「てにをは」のような接辞をもつ言語だった。
 石碑に書かれたシュメル語の碑文が解読されています。学者ってホント、たいしたものですね。
 碑文は神に読んでもらうためのもの。当時の民衆の識字率は低く、民衆のほとんどが碑文を読めなかった。王自身も文字の読み書きができるとは限らなかった。
 シュメル人の衣服は縫わなかった。シーツのようなたっぷりした布を身体に巻きつけて、ピンでとめていた。
 王や王子たちは文字の読み書きができなくても差し支えなかった。そのかわり、王に仕える書記、つまり役人は文字の読み書きができなくては仕事にならない。書記になろうとする男の子たちは学校へ通わされた。シュメルの父親は教育熱心だった。
 シュメルは文明社会であり、法によって治められる社会だった。殺人は死刑と定められていた。
 シュメル人の庶民の結婚には父親の同意が不可欠だった。婚姻契約を結び、王の名にかけて証人の前で婚姻締結を宣言した。女性の処女性は重視されており、妻は夫に貞操義務があった。契約書なしの内縁関係では、離婚するとき慰謝料を支払う必要はなかった。夫婦は同居の義務があったが、財産は別だった。
 夫の家庭内暴力から逃げ出した妻がいるという話も紹介されます。
 シュメルで女性は、いくつかの重要な法的権利をもっていて、財産を所有できたし、証人として出廷できた。
 シュメル人の死生観には地獄がない一方で、天国や極楽もない。一度だけの生をよく生きると定めざるをえない。あの世よりも、この世を大切に生きた。死者は生前のおこないの善悪にかかわらず、死ねば一律にクルヌギに行き、飲食物に不自由するので、生きている者は死者のために供養する義務があると考えられていた。
 5000年前、古代メソポタミアの人々の生活が案外、今の私たちと同じようなものであることに驚いてしまいました。古代の文字が解読されるって、ホントすごいことです。

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