弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生きもの(魚)

2016年1月25日

金魚

(霧山昴)
著者  岡本信明・川田洋之助 、 出版  角川ソフィア文庫

可愛い金魚がオンパレード。写真満載の文庫本です。
熊本県長洲町には有名な金魚の館があります。筑後地方のみやま市も金魚産地のようです。知りませんでした。
日本産金魚は33品種。金魚はフナ。学名は金色のフナ。室町時代(1502年)に中国から渡来した。それから今日まで500年余にわたって、日本の文化的背景や美意識によって改良され、愛玩されてきた。金魚は日本が世界に誇る平和の象徴の一つ。金魚は、まさしく生きた伝統工芸品とも言える。
金魚の祖先であるフナは、現在も盛んに変異を生み出す進化途上にある生きもの。 
改良された金魚は、特段に目立つ色やゆったり泳ぐ体形になっているため、厳しい自然の中では淘汰され、生きていけない。
すきあれば、金魚はフナの色や形に戻ろうとする。それで、品種の維持・管理に手を抜けば、どんどん先祖返りしようとする摂理が常に働いている。
金魚の起源は、古代の中国。晋(265~420年)の時代にフナの中に赤い色をしたフナを見つけたという文献がある。金魚が中国より日本に渡来したのは室町時代の1502年(文亀2年)、大坂の堺。ワキン(和金)。その後、別に琉球を経由した琉金も渡来した。
明治38年に開かれた金魚の品評大会の番付表が写真で紹介されています。大相撲そっくりの番付表です。当時の金魚人気のすごさを表しています。
当初、金魚は特権階級のステータスシンボルだった。しかし、やがて、庶民にも広く愛される存在になった。
金魚のオスとメスの見分けかたが写真で紹介されています。肛門の形が丸ければメス、細いだ円形ならオスなのです。素人にも見分けられるのでしょうか・・・。
金魚の寿命は毎日きちんと世話していたら15年ほど。犬や猫と同じ。ギネスブックに記録されているのは43年。なんという長寿の金魚でしょう・・・。
そして、なんとなんと、「どんぶり」でも金魚を飼えるというのです。意外に生命力があるのですね、金魚って・・・。
楽しい金魚の話が満載の文庫本です。

(2015年7月刊。920円+税)
 日曜日、大雪のため交通機関が大きく乱れているなかで、フランス語の口頭試問を受けてきました。この一週間は、ずっとそれが頭にあり、緊張していました。思うように単語が出てきませんので、頭の中をフランス語モードにするため、3日間は車中で本を読まず、アイフォンでCDを聴いていました。NHKラジオ講座のCDです。
 本番は3分前に2問を渡され、1問を選んで3分間スピーチをします。日本は亡命者をもっと受け入れるべきかを選択しました。私は賛成なのですが、いったいこれをフランス語で3分間どう話せばいいのでしょうか。日本語を考えて頭の中がまとまらないうちに、3分間たってしまいました。あと4分間、フランス人の質問を受けて答えます。本当にいつも冷や汗をかいてしまいます。ぐったり疲れました。

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2014年1月 4日

魚影の群れ

著者  吉村 昭 、 出版  ちくま文庫

 ノンフィクションのようなすばらしいフィクション(小説)を作り上げる著者の短篇小説集です。
マグロとりの漁師の世界では40歳以上の漁師は老齢者に入る。大きなマグロとの戦いは、体力を消耗させ、それが長時間に及ぶだけに若い強靱な肉体が要求されるのだ。
それに、マグロ漁は、睡眠不足との戦いであった。マグロの餌である烏賊(イカ)は夜のあいだに沖へ船を出してとらねばならない。烏賊は中型のものが最適で、少なくとも30尾ほどは船の生簀におさめる必要があった。餌をとって帰るのは夜明けに近く、短時間仮眠するだけで、朝食を済ますと、再びマグロをとりに沖へ出て行く。そうした生活を半年間つづけるため、マグロとりの漁師は眼に見えてやつれてゆく。自然に、マグロ漁の漁師は20代から30代までの男に占められていた。
 マグロは、漁の群れを追っている。その中に餌を投げ入れても、食う可能性はほとんどない。釣り上げることができるのは、小魚の群れが逃げ散って、マグロの群れが小魚を追うことをあきらめ一定の方向に秩序正しく泳ぎはじめた折りにかぎられる。そうした状況をつくり出すには、船をその海面に突きこませて、小魚を円散させる以外に方法はなかった。
このように、下北半島の大間のマグロとりの状況が活写されています。
短編小説が4つあり、いずれも味わい深いストーリーです。というか、ネズミやカタツムリの話は正直いって、薄気味悪さを覚えました。それくらい、情景描写が真に迫っているということです。
(2011年9月刊。680円+税)

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2012年6月11日

魚は痛みを感じるか?

著者   ヴィクトリア・ブレイスウェイト 、 出版   紀伊國屋書店

 魚が痛みを感じているのか?
 この問いかけに対する答えは、イエス。ではなぜ、一度エサにかかって釣りあげられた同じ魚が、再びエサで釣れるのか?
それは、ひもじいのに、ほかにエサが見つからなかったから。うーん、魚も痛みを感じているのでしたか・・・。モノ言わない魚も、実は痛みを感じていたなんて。
 痛みとは、単一のプロセスではなく、一連のできごとが集まったもの。皮膚の特殊な受容体が刺激を受けると、それは何かが皮膚にダメージを与えているという情報を身体に伝える。たとえば、最初にやけどが検出され、その情報が伝達する信号が脊髄背角へと伝わり、そこで反射反応が引き起こされる。そして、ヒトはやかんのふたを落とす。ここまでは、すべて無意識のうちに生じる現象だ。信号は、脊髄に到達して反射反応を引き起こしたあと、脳に至る。そのときはじめて、ヒトは痛みを感じはじめる。
 やけどによって引き起こされた不快な情動的感覚に意識的に気づき、脳はたった今自分がとった行動が痛みをもたらしたのだと告げる。何らかの痛みが感じられるまでに2秒ほどかかることがあるが、ほとんど痛みはそれより早く感じられる。
 マスに深い痲酔をかけて活動を完全に停止させ、何が起きているかをまったく関知できない状態にする必要があった。しかし、神経系は依然として機能している。ヒトの場合には、痛みを経験すると、呼吸と心臓の鼓動が速くなる。魚の場合には心拍数が早くなることが、エラ蓋の開閉数を数えることで分かる。
 マスをハチの毒や酢で処置したとき、エラの開閉数は、休息していたことに比べて、ほぼ倍になっていた。したがって、マスは痛みを検知する。そして、それが刺激されると、その情報が三叉神経に伝達される。それによって魚の行動が変化する。
 では、魚は感情を経験しているのか、苦しむ能力をもっているのか?
 魚はエサを迷路のなかでも素早く見つけるようになる。つまり、魚は学習できるのである。エサを早く見つけるため迷路のなかで、どこで曲がったらよいのか、そのときの目印は何かを魚(キンギョ)は学習し、記憶することができる。
フィルフィンゴビーという小さな魚は、満潮時に周辺の地形を覚え込んでいて、干潮のときには海水のたまるくぼみを記憶している。そして、捕食者が来ると、水たまりから水たまりへと飛び移って逃げる。周辺の環境を学習するには、満潮をたった一度だけ経験すればよい。
魚にも「知能」があって、学習できること。そして、魚も痛みを感じていることを実証した面白い本です。
(2012年5月刊。2000円+税)

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2011年12月 5日

究極のクロマグロ完全養殖物語

著者   熊井 英水 、 出版   日本経済新聞出版社

 日本は年間50万トン以上のマグロを消費するマグロ大国である。
 世界ではクロマグロ、メバチ、キハダなど175万トンものマグロが漁獲されている。その
27%を日本が消費している。クロマグロに至っては、8割が日本人の胃袋におさまる。
 大トロが取れるのはクロマグロとミナミマグロだけ。世界のミナミマグロの9割を日本が消費している。
 クロマグロでは、342キロの北海道・戸井産のものが3249万円で競り落とされた。
 マグロはスズキ目サバ科マグロ属。近畿大学水産研究所がクロマグロの増養殖研究に本格的に取り組みはじめたのは1970年のこと。うへーっ、今から40年もの前のことなんですよね。私はまだ大学生でした。そして、マグロの完全養殖に成功するまで32年もかかってしまった。
 マグロの体、ヨコワには鱗が細かく、とにかく皮膚が弱い。少しでも擦れると、もうダメ。そして酸素不足にも弱い。クロマグロは、ハマチに比べて体重あたりの酸素要求量が3倍も大きい。すぐに酸欠死する。
 クロマグロは5歳で成熟し、産卵可能な個体となる。ふだんは雄雌の区別はほとんどつかないが、産卵期になるとオスは全身が黒化し、メスは腹側が銀色に輝き、測線のブルーがなお鮮やかに変わり、激しい追尾行動が始まる。
 1979年に初めて産卵に成功。1ヵ月間に160万個の卵が採取できた。次は稚魚に育てるのが課題となる。
 マグロは夕方から夜にかけて産卵する。そして11年間、産卵しなかった。1994年に12年ぶりに産卵をはじめた。しかし、今なおどうして産卵を再開したのかは分かっていない。
 マグロは稚魚の前で動くものを餌として攻撃する性質がある。生簀が狭すぎるとマグロは衝突死する。光に敏感なマグロは車のヘッドライトに驚き、暴走、激突死していた。
 マグロの力強い遊泳力が養殖において致命傷となった。大きい図体に似合わず、本当に臆病な魚でもある。マグロの激突死を避けるため、生簀を大きくし、そのうえ夜間電照をして明るいところで育てた。
 2009年に沖出しした稚魚は19万尾。そのうち4万尾がヨコワとなり、生存率20%を記録した。卵から計算しての生存率も0.5%となった。 
 クロマグロを育てるのに15倍の生餌が必要。つまり、200キロのマグロを育てるには、3トンもの餌が必要である。いま、人口配合飼料となっている。
 2004年9月、近大産のクロマグロの3尾を大阪・奈良の百貨店へ初出荷した。
 全身9割がトロのトロマグロ。大トロが100グラムあたり1800円、中トロが980円、赤身が680円。いずれも天然本マグロの元値でたちまち完売した。
 クロマグロは、どの魚よりも早く泳いで餌を捕獲できるように進化してきた。スピードは時速20~30キロで泳いでいて、絶対に止まらない。睡眠時には、何かしらのセンサーを働かせて障害物をよけている。
 マグロは生まれてから死ぬまで、一生泳ぎ続けている。口を開けたまま泳ぐことで、常に新鮮な水をエラを通して酸素を取り入れている。マグロの体は徹底的に泳ぎに特化しており、尾ビレは強い推進力を生み出すため、大変発達している。
 カツオはスズキ目サバ科であり、れっきとしたマグロの仲間である。
いやあ、マグロのことを改めて知ることが出来ました。すごいですね。ぜひ近大産のマグロを一度は食べてみたいものだと思いました。
(2011年7月刊。1600円+税)

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2010年10月30日

深海のとっても変わった生きもの

 著者 藤原 義弘、 幻冬舎 出版 
 
 海の底に、こんなにも変わった色と形をした魚たちが棲んでいるのかと、びっくり驚天です。たとえば、水深270メートルの海底に生きるベニハゼは、暗いはずなのに、派手なピンク色でアピールしています。
 海底に沈んだクジラの骨の中には、ホネクイハナムシ、エビやカニ、ホシムシその他の生き物たちの棲み家になっている。海底のクジラの骨には、小さなクリスマスのようにツリガネムシがまとわりついている。クジラの遺骸は、生物の少ない深海では、大変なごちそうなのだ。スタウナギ、カニが肉を食べ、骨はホネクイハナムシ、ヒラノマクラなどが利用するなど、たくさんの生命を支えている。
長いアシをもつムンナは、まるで地上のカマキリ。長い手足は、カマキリが海底を歩いているとしか思えません。
 海底には、猛毒の硫化水素を含み、300度にもなる熱水噴出効孔がある。そこに、なんと多くの生物が寄り集まっている。アルビンガイもその一つ。
 深海では、赤い光が届きにくいため、赤いものは黒く見える。だから、赤い色をした生き物が多い。赤は深海では目立たない。
とっても奇妙な形をしていて、不思議な色をしている生き物が、こんなに深海の海底でうごめいて生きているとは、まったくの驚きです。
 どうやって撮ったのかしらん、と思うような傑作の深海底生物の写真集です。
 どうぞ、あなたも手にとって眺めてみて下さい。楽しい写真集ですよ。
 
(2010年6月刊。1300円+税)

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2010年1月 3日

イカはしゃべるし空も飛ぶ

著者 奥谷 喬司、 出版 講談社ブルーバックス
 日本人は、年間1人あたりイカを1.2キログラム(イカ3~4杯)も食べている。これほど日本人のイカ好きのため、日本列島沿岸でとるイカ40~50万トンではとうてい足りない。
 イカには、血中のコレステロールを抑えるタウリンという物質が多く含まれている。イカは非常に良質のたんぱく質を含み、低脂肪でもあって、ダイエット志向にぴったりである。
 日本のスルメイカは1968年に空前の豊漁があり、70万トンもとれた。今では、その半分以下の30万トンもとれない。
 化石のアンモナイトはイカの遠い祖先筋にあたり、イカも昔は重い貝殻を背負っていた。イカは貝類の親戚なのである。
 イカの筋肉は運動力の強いものほどよく発達していて、そのようなイカほどおいしい。運動力の鈍いものは筋力も弱くて、まずい。
 同じ重さの金と同じ値打ちのある「竜涎香」(りゅうぜんこう)と呼ばれる高価な香料のもとは、実はマッコウクジラの腹の中にたまった不消化のイカの「からすとんび」の塊なのである。いやはや、とんだことですね。
 イカは水中を矢のように泳ぐが、それだけイカの筋肉は短時間に多量の酸素を必要とする。
 イカの墨は粘液に飛んでいるので、ぷっと吹き出すと、しばらくその雲は散らばらない。これは恐らく攻撃の目を欺くダミーと思われる。
 イカは一瞬にして体色を変えるという超能力を持っている。すべての色素細胞が収縮すると、イカの皮膚には色がなくなり、全体が透明となる。
 スルメイカは1年間で一生を終える。アカイカは胴長が1ヶ月で3~4センチも伸び、1年間で体重5キロ、胴長40センチを超す巨体になる。
 イカは水族館で慣らさない限り、生きた餌しか食べない。そこで、疑似餌を水中で跳ねるようにしてあやつり、イカを誘う。
 イカのことをいろいろ知ることのできる本でした。イカ刺しってホントおいしいですよね。また呼子に行ってみたくなりました。
(2009年2月刊。1600円+税)

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2009年8月14日

深海魚

著者 尼岡 邦夫、 出版 ブックマン社

 深海にすむ魚たちの、グロテスクとしか言いようのない姿と形を、しっかり堪能できる大判の写真集です。暗黒街のモンスターたち、というサブタイトルがぴったりです。
 深海魚の多くは発光器を身に着けている。なかには、肝門から発光液を出す魚もいる。これを塗って餌で魚を釣る漁法がポルトガルやインドネシアにあるそうです。面白いものですね。
 体内に発光器をもっている魚は、発光細胞内でのルシフェリンとルシフェラーゼの化学反応で発光する。ヒレの先端が光ったり、ヒゲが光ったりと、発光する場所はいろいろあります。しっぽの先が光ったりもするのです。
 長い柄の先に目が付いていたり、長い長い腸を体外にぶら下げていたり(消化と吸収の効率を高めるためとのこと)、なんとも奇妙な形の深海魚たちのオンパレードです。
 でも、もっとも悲しいのは、メス魚に寄生して一生を終わる哀れなオス魚です。大きなメスにくっついた小さな付属物としてしか存在しえないのです。ここまでくると、哀れというより、悲惨としか言いようがありません。
 スイスでは、今回は高級料理店はやめて、町なかのレストランに入ってスパゲッティやピザを食べるのがほとんどでした。町の広場に張り出したテラスで、道行く人たちを眺めながら(眺められながら)、ゆっくり赤ワインを味わいました。私はビールはやめました。シシリー島産の赤ワインの渋みのある重厚な味が一番印象深く残っています。
 
(2009年6月刊。3619円+税)

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2009年3月16日

世界初!マグロ完全養殖

著者 林 宏樹、 出版 化学同人

 マグロ属のなかでもクロマグロはもっとも体長が長く、大きいもので全身3メートル、そして、体重は400キロを超えるものがいる。
 クロマグロの名は、身体の背側が黒いところによる。むなびれが、他のマグロと比べて短いのも特徴。幼魚から成長するにしたがい、ヨコワ、メジ、チュウボウと呼び名が変わる出世魚でもある。クロマグロは、奇網(きもう)と呼ばれる毛細血管を体側筋の中や肝臓の表面に発達させている。これによって冷水域でも体温を水温より5~10度は高く保つことが可能となり、筋肉の活動を低下させず高速で遊泳できる仕組みとなっている。
 クロマグロは、時速80キロで泳いでいる。
 マグロは、生まれてから死ぬまで泳ぎ続けなければならない宿命にある。というのも、マグロには鰓を動かす能力がない。だから、口を開けて泳ぎ続けることでしか呼吸のための酸素を取り込むことができない。それで、休息時も口を開けて泳がなければ窒息してしまう。
 マグロの寿命は20~30年。マグロは肉食の魚である。エサはイワシやアジ、そしてイカ、タコ、オキアミなども食べる。
 江戸時代の初めころまで、マグロは「シビ」と呼ばれ、「死日」に通じるので忌み嫌われ、あまり好んで食されていなかった。
 クロマグロの著養がもっとも盛んなのは地中海であり、世界で3万5000トンが生産され、、そのほとんどが日本に輸入されている。
 クロマグロを養殖するには、まず、幼魚のヨコワをとり、生簀に活け込む。太平洋のクロマグロの産卵域は、日本南方からフィリピン沖の西太平洋で孵化後、黒潮に乗って北上し、夏から秋にかけて10~20センチのヨコワになって日本沿岸にやってくる。ヨコワは、非常に酸素要求量の高い魚である。そのため、酸欠状態となるとすぐに死滅してしまう。
 また、光や音の刺激でパニックを起こしやすく、生簀に突進して衝突死する個体が続出した。クロマグロ完全養殖の研究を始めてから32年たって、ようやく実現することができた。味も、天然ものとまったく遜色なかった。
 成魚になったクロマグロは、病気になりにくいのでワクチンなどの薬を投与する必要もない。
 いま、クロマグロは1日2回、午前と午後、アジやサバを中心に生餌が1日当たり体重の数%の換算で与えられている。出荷するときは、電気針を使って一本釣りをする。マグロが針についた餌に食いついた瞬間に電気が流れ、仮死状態にして釣り上げる。時間をかけて釣り上げると、マグロが暴れて体内に乳酸がたまり、俗に言う身にやけが入るからである。商品価値が落ちてしまう。
 世界のクロマグロの8割を日本人が消費している。
 本当に日本人はマグロが大好きですよね。もちろん、私も大好きです。ネギトロ巻きなんか、うっとりするほどの美味しさです。
 最近、ある業界紙を読んでいたら、次のようなコラムを発見しました。いやあ、本当にひどいものです。私もあらためて怒りを感じました。

日本長期信用銀行に8兆円ともいわれる莫大な公的資金をつぎこんだ挙句、わずか10億円で2000年に米投資ファンドのリップルウッドに買収させた。一時的には国有化された旧長銀をである。そして、リップルウッドは2200億円の株式売却益を得た。なぜ、銀行ではない外国のとうっしファンド会社に売却されたか、その舞台裏で何があったのかは今も不明である。
 原価2400億円の『かんぽの宿』が109億円で落札云々も、事例としては相手が米国か日本かの違いだけ。郵便局員は公務員だが、給料は税金からは払われていない。350兆円もの郵便局の資産を外資や民間に解放することがターゲットだったのだろうか?
 アメリカが日本を安く買収できるように道筋をつくり、日本の金融資産をアメリカのために活用できるように仕組みを変えたのが、一連の構造改革であったことが次第に明らかになってくる.
(週刊先物ジャーナル987号、沼野 龍男氏)

(2008年11月刊。1400円+税)

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2007年11月12日

ウナギ

著者:井田徹治、出版社:岩波新書
 ウナギは私も大好物です。私の事務所には、ヘビみたいで苦手だという女性がいますが、それは気にしすぎです。とても美味しいし、栄養満点なんですからね。柳川が本場のウナギのセイロ蒸しなんて、最高ですね。熱々のごはんと一緒にいただくと、ほっぺたが落ちそうです。思い出すだけでも、ゴクンと喉がなります。
 でも、この本を読むと、いやあ、このまま日本人はウナギを食べ続けていいのかな、と反省させられます。
 ウナギの資源は危機的な状況にある。日本人が長く食べてきたニホンウナギはもちろん、アメリカやヨーロッパのウナギ資源が急激に減少し、その将来が危ぶまれている。
 日本人は世界のウナギの70%を食べている。しかも、日本人の食べるウナギの量は過去15年間に急増した。
 ニホンウナギは日本から200キロも離れたグアム島近くの海で生まれる。生まれた直後のプレレプトセファルスほとんど泳げず、海流に乗ってながされるようにして移動する。
 日本のウナギ資源が大きく減った原因の一つは、湿地や干潟など汽水域の環境が開発によって破壊されたことにある。ウナギはそこで骨休みをし、長旅の準備をする。
 ウナギは長い距離を長時間かけて遡上する。川を上り、自分の気に入った場所を探す。50キロや100キロはざらで、信濃川では河口から200キロ、木曽川では180キロの地点まで遡った記録がある。
 ウナギは大食漢で、長寿だ。飼育下で37年間も生きた記録がある。世界でもっとも長生きしたウナギは84年。
 自分のすみかを見つけたウナギは、オスの場合に3〜5年、メスはさらに10年かけて成熟する。成熟したウナギは再び川を下って海に向い、そこで産卵して一生を終える。この降りウナギが一番美味しい。脂肪をたっぷり蓄えているから。
 ウナギは生では食べられない。ウナギの血液中には毒性物質が含まれていて、人間が食べると下痢や嘔吐をおこし、ひどいと呼吸困難をもたらす。ただ、65度以上の高熱にさらされると、無害になってしまう。だから蒲焼きしたら大丈夫。
 ウナギを養殖して得られるのは、ほとんどオス。ウナギの養殖は大変で、お金もかかる。ウナギの親は、1回に100万個の卵を産む。その卵のなかで100日まで生きるのは、0.026%だけ。さらに、シラスウナギにまで変態するのは3分の1だけ。養殖するときのエサが大変。今は、サメの卵を主成分とするエサを与えている。このサメが絶滅の危機にある。
 ウナギのメスに卵を産ませる最後のきっかけをつくるPHPという物質は10ミリグラムで2万円もする高い薬。今の手法では年に100匹程度のシラスウナギをうみ出すのが限界。しかし、日本で1年間に必要なシラスウナギの数は何と1億匹。とても釣り合わない。
 日本のウナギ市場は年間、数千億円にもなる。だから、世界のウナギ資源の保全に大きな責任がある。
 天然ウナギの漁獲量は、600トン程度でしかない。2000年に日本人が食べたウナギの消費量は、原魚換算で17万トン。だから、日本人が食べているウナギの99.5%は養殖ウナギ。
 外来種であるヨーロッパウナギが、日本各地の河川に定着している。日本固有のウナギの遺伝子は、ヨーロッパウナギの遺伝子によって攪乱されつつある。
 ウナギは体内に脂肪の量が多いため、それだけ有害物質を体内に蓄積しやすい。
 ウナギは、有害化学物質の影響を受けやすい条件を多くもっている。
 ヨーロッパやアメリカのシラスウナギを飛行機で、中国の内陸部に運び、そこで養殖し、加工までして、最終的に日本の市場に大量に流れこんでいる。
 いやあ、なんだかウナギを食べるのが怖くなってきましたね・・・。
(2007年8月刊。740円+税)

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2007年10月19日

ゆりかごは口の中

著者:桜井淳史、出版社:ポプラ社
 魚の子育てを追跡した楽しい写真集です。人類発祥の地として名高いアフリカ大陸の大地溝帯にあるタンガニーカ湖にすむ魚も登場します。そこには300種類もの魚がいて、口の中で子育てをする魚、何かにたまごを産みつけ、そこでたまごと稚魚を守る魚など、いろんな魚がいるのです。
 著者はまず、自分の家の水槽でエンゼルフィッシュを飼い、その子育てを撮影しようとします。エンゼルフィッシュは南米のアマゾン川が原産地であり、オスとメスが協力して子どもを育てる、なかのよいペアは死ぬまで一緒に暮らします。ふむむ、すごーい。
 エンゼルフィッシュは、シクリッドフィッシュと呼ばれる魚のグループ。シクリッドフィッシュは、アメリカ大陸とアフリカ大陸の熱帯地方の川や湖、海ぞいに1200種ほどいる。どの魚も面白い産卵の仕方であり、子育てが上手である。
 エンゼルフィッシュを水槽で飼おうとして、適当な2匹を入れても、ケンカばかりして、とてもうまくいかない。エンゼルフィッシュは、実は、人間の都合によるお仕着せのカップルではダメで、自分で相手を選ぶ恋愛結婚でしかうまくいなかい。
 ひゃあ、そうなんですか・・・。魚と思ってバカにしてはいけないのですね。
 エジプシャンマウスブルーダーは、口の中に子どもを入れて子育てをする。その写真があります。信じられません。子どもたちを守り育てるのに一番安全な場所は、親の口の中だというわけです。子どもが口の中にいたら、親はエサを食べられませんよね。でも、そこもうまく解決しているようです。
 親が子育てをしない魚では、たとえばマンボウは1回に3億個のたまごを産み、イワシは1回に10万個ものたまごを産む。その大半が食べられる運命にある。
 しかし、親が子育てをする魚は、一回に産むたまごは、500個とか30個というように、とても少ない。
 魚の子育てにも人間の子育てのような苦労があるということを知りました。
(2006年12月刊。950円+税)

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