弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物(アリ)

2018年1月 6日

アリ!なんであんたはそうなのか

著者 尾崎 まみこ 、 出版  化学同人

子どものころから、地上を歩むアリをじっと観察していて、今ではアリと会話までしている著者による面白いアリの本です。
迷子にならず自分の巣に帰るアリ。クロシジミの幼虫にせっせと餌を運ぶアリ。体臭の違いによって敵か味方かを識別しているアリ。働かないアリは、何が違うのか、、、。
アリがどれだけの重さを背負って運べるのか、実験してみた。アリの背中(胸部背面)は、ヒトコブラクダのように盛り上がっていて、平坦ではない。そのうえ、その大きさと形は一定ではなく、きわめて個性的。そこで、ハンダを溶かして、一頭一頭のアリの背中の起伏にあわせた形の荷物をつくった。10ミリグラム、20ミリグラム、40ミリグラムと過重を増やしていく。体重と同程度になってもアリは「平気で」歩いた。しかし、力自慢のアリであっても重たいものは重たいと感じ、歩き方を変えていることが分かった。
クロオオアリの結婚飛行。初夏の5月6月、少し湿度の高い、風のない穏やかな日に一斉に穴から空中へ飛び立つ。早すぎても遅すぎても台なしなのだが、どうやってその同期性を確保しているのか、、、、。何か通信手段をもっているのか、謎のままである。
一斉にオスとメス(女王)のアリが飛び立ち、空中で交尾する。そして、交尾した女王アリは天からおりてきて地面にもぐり、たったひとりで営巣をはじめる。オスのアリは、一人で生きていくことは出来ずに死んでいく。
アリの社会は巣が基本単位。働きアリどうしの仲間づきあいのルールは、巣が同じなら、みんなが共通にもっている体臭による。
働かない働きアリは、すべてにものぐさなので、わざと体表の炭化水素パターンの異なる敵を連れて行き出会わせても、攻撃しようともしない。働かない働きアリの脳の中では、働く働きアリに比べてオクトパミンという神経伝達物質が増えていることが最近判明した。脳内にオクトパミンが多いとやる気がなくなるということはザリガニを調べて実証できた。
アリの小さな脳から脳内物質を取り出して研究するなんて、本当に学者は大変ですよね。
(2017年5月刊。3000円+税)

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