弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物(クマ)

2017年12月 8日

人を襲うクマ

(霧山昴)
著者 羽根田 治 、 出版  山と渓谷社

 山でクマと出会ったときにどうしたらよいか・・・。人を襲うクマは昔からいた。音を立てたら逃げるクマばかりではなく、しつこく人間を狙うクマもいるというのは歴史が教えるところだ。
 なぜなのか・・・。その最大の理由は、山々に杉林などの人工植林が増えてクマの食べるエサが少なくなって、人里にあるおいしいものをクマが狙っているからだというのです。
 私もたまに近くの山をハイキングします。幸い九州の山ではクマは既に絶滅していていないようです。九州で怖いのはイノシシとハチです。私も気を付けています。
 本土ではクマと遭遇して大ケガしたという人が毎年、少なくありません。
 ヒグマに襲われたら30%以上が死亡している。ツキノワグマだと死亡事例は数%ほど。
 ヒグマはツキノワグマと比べて体格が大きいことにもよるが、実は被害者の半分は狩猟者。ヒグマは一発必殺しないと危険だということ。
 人身事故を防ぐためにもっとも重要なことはいかにクマと遭わないように工夫するかということ、鈴やラジオを持って山中を歩いていてもクマ避けには万全ではない。イヌを連れて山に入ったとき、イヌが怒ったクマを引き連れて飼い主のところに戻ってくる危険もある。
 トレイルランとか、クマの想定をこえるスピードでの移動をしているときも注意が必要。
 枯れ葉や土がかけられたシカなどの動物遺体を見つけたときには、決して近づいてはいけない。クマが自分の占有食物として、近くで見張っている可能性が大きく、とても危険な状況にある。
 クマに遭ってしまったときには、クマを刺激しないように相対したまま、できるだけ落ち着いて後方にゆっくり下がって距離を取り、その場から遠ざかる。
 このとき、背中を見せて走って逃げてはダメなようです。クマの走るスピードにはかないません。すぐに追いつかれてしまうのです。
また、大きな声で叫んでクマを無用に刺激して興奮させるのもいけない。
 クマの攻撃は、威嚇だけのこともある。本当に襲われたら、地面に腹ばいになり(腹をやられないようにする)、手を首のうしろで組んで首を守り、両肘で顔面をカバーして守る。急所を守ってクマの襲撃に耐える。うひゃあ、そんな勇気はありませんよね・・・。
 クマは人を攻撃するときには顔面を狙う。クマと取っ組み合いをするときには、顔面をしっかり守ること。ペッパースプレーも有効だが過信してはいけない。
 この本には1970年7月に福岡大学ワンゲル部のメンバーが日髙山脈で襲われた状況が詳細に紹介されています。私と同学年の人など3人がクマに襲われて亡くなっています。
 このときのクマは、人を見ても、音を聞いても恐れず、しつこく人間を追って、襲って殺した。そして、クマが人を加害するときは、衣類と体毛をはぎとる。なので、食害がひどいのは、顔面、下腹部、肛門周辺。ですから遺体は丸裸のうえ、顔もお腹もお尻もないという無残な状況になってしまうようです。
 クマに殺された学生の一人が、夜、テント内でその直前に書いたメモ(日記)の一部が紹介されています。どれほど恐かったでしょうか・・・。読んで涙が出てきました。
 クマをふくめて大自然の恐ろしさを改めて実感させられます。山歩きを楽しもうという人は読んで損しない本というか、読むべき本だと思いました。
(2017年10月刊。1600円+税)

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