弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年3月18日

ツバメのくらし写真百科

(霧山昴)
著者 大田 眞也 、 出版  弦書房

ツバメを見かけることも少なくなった気がします。スズメにいたっては明らかに激減しています。暖冬だったことと関係があるのかが分かりませんが、この冬は、ジョウビタキの姿をたまにしか見かけることがなく、寂しい思いをしました。と書いたら、3月半ばの朝、姿を見かけました。旅立ちの挨拶に来てくれたようです。
さて、ツバメです。人の目に目立つところに巣をつくるのは、天敵対策として人間の目を利用しているということです。
ツバメは、平均気温9度の等温線とともに北上するという説が有名。熊本には毎年、ヒナ祭りの3月3日ころに姿をあらわす。先に日本にやって来るのはオスで、メスに呼びかけます。そのラブコールは「土食って虫食って渋ーい」というもの。
つがいの相手を選ぶのはメス。オスを見分けるポイントは、尾羽の長さ、白斑の大きさ、喉の赤さ。これらはオスらしさの象徴であるだけでなく、ヒナの生育を阻害する寄生虫の少なさを示す指標でもある。
巣づくりを始めてから4日目ころから、巣の近くで交尾する。オスはクチュクチュジュクジーなどと早口で鳴きながらメスに接近し、ころあいをみて、さっとメスの背に乗って交尾する。精子は新しいものほど受精しやすいので、メスが一腹卵数を産み終えるまで、オスはメスにつきまとって、毎日数回、交尾を繰り返す。これには、メスの不倫を防止して、自分の遺伝子だけを確実に伝えようとする意図がある。
抱卵は主としてメスがし、オスは手伝う程度。夜間はメスだけでする。抱卵して2週間ちょっとでヒナがかえる。丸裸同然なので、5日間くらいは卵のときと同じく温め続ける。ヒナは親鳥の発するクイッという鳴き声で一斉に口を開ける。口内は赤くて縁取りは黄色。もっとも大きく開いた口のヒナがもっとも空腹で、親鳥はいちばん大きい口にエサを入れ与える。きわめて合理的。エサをもらったヒナは、すぐ後ろ向きになって糞をする。親鳥はそれをくわえて外に捨てに行く。
口を大きく開けさえできれば、羽色には関係なくエサをもらえて育つ。ツバメの巣にスズメのヒナが入って立派に育ったこともある。ええっ、驚きます。
親鳥は雨が降ると、雨を受けて雨浴びをして、寄生虫を駆除し清潔につとめる。雨浴びしたあとは、電線にとまってくちばしで、丁寧に羽毛を整える。
ヒナは卵からかえって3週間後に巣立つ。巣立ちはだいたい午前中。当日になると、親鳥の態度が一変し、エサをヒナに与えず、巣の近くにとまって見せびらかして、誘う。
親鳥は、ヒナを巣立たせて2週間もすると、2回目の繁殖に取りかかる。巣立ってからも10日間くらいは、親鳥からエサをもらいながら、エサのとり方、天敵、危険なものは何か、生きていくうえに必要なことを学ぶ。子どもたちは、巣立ちして1ヶ月くらいは巣に戻ってきて休んだりする。
越冬ツバメは、留鳥になったのではなく、日本の北方の寒いところのツバメたちが冬の厳しい寒さを避けてやって来ているのだろう・・・。
身近なツバメの百態を写真と文で詳しくできる楽しい本(写真集)です。
(2019年1月刊。1900円+税)

2019年3月11日

鳥、驚異の知能

(霧山昴)
著者 ジェニファー・アッカーマン 、 出版  講談社ブルーバックス新書

鳥は恐竜から進化した生き物です。1億5000万年から1億6000万年前のジュラ紀に鳥類は恐竜から進化した。しかし、恐竜は、ある日、鳥に変わったというのではなく、1億年にわたる着実な進化によって一つずつ時間をかけて現実になった。
長いあいだ、道具を使うのは霊長類のみと考えられていた。道具の使用がヒトに特有なものという考えは、チンパンジーが道具を使うことをジェーン・グドールが発見して斥けられた。その後、オランウータンもマカクザルも、ゾウも、昆虫までもが道具を使用していることが判明した。そして、鳥類ではカレドニアカラスが道具をつかっていることが観察された。
ミヤマオウムは、世界でもっとも賢くて、いたずら好き。悪ふざけをするのが大好きだ。
カラスは、同じ作業をしたのに、自分のもらう褒美が仲間より少ないと作業を止める。つまり不公平さに対する感受性がある。
ただし、鳥にも個性がある。鳥も他者にならう。
セキセイインコは、そのオスがパートナーに対する献身の度合いをパートナーの呼び声を完璧に真似ることで示す。つまり、つがいのセキセイインコは、同じ呼び声で集まる。オスがメスと寸分たがわない呼び声を出す。メスの呼び声がオスの呼び声でもある。模倣の正確さを基準にして、メスはオスの求愛の本気度と、パートナーとしての適性を判断する。
カケスは貯食するが、泥棒でもある。隣人が苦労して集めた餌をさらっていく。
アオアズユヤドリのメスは、活気があり熱のこもった歌とダンスのディスプレーに魅かれるが、それも度をこすと逆効果になる。オスのメスへの求愛は、自信たっぷりの行動より感受性、気持ちの通いあい、力の誇示の抑制が必要なのだ。
ハトは数を理解する。最大で9個の物が描かれた絵を、数が少ない絵から多い絵へと正しい順序で並べることができる。また、相対的な確率も理解する。
2月中旬の日曜日、青空の下で種ジャガイモを植えつけました。いつものジョウビタキは来ず、珍しいことに白黒ツートンカラーのカササギが2度もすぐ近くの梅の木までやって来ました。
この冬は寒いと思っていると、そうでもなく、高菜が例年より早く伸びたので急いで収穫したと聞きました。ジョウビタキも暖冬異変で早々と帰っていったのでしょうか・・・。
(2018年3月刊。1300円+税)

2019年2月10日

ニワトリ、人類を変えた大いなる鳥

(霧山昴)
著者 アンドリュー・ロウラー 、 出版  インターシフト

JR久留米駅にある美味しい鶏の唐揚げの店で読了しました。この店は大量生産のブロイラー(鶏)ではないと表示されていますが、なるほど肉質が違います。かみしめると、味わい深さに舌が驚いてしまうのです。
ニワトリは恐竜の子孫です。では、なぜ恐竜が絶滅したというのに、ニワトリだけは生き残っているのでしょうか・・・。
鶏肉は、豚肉や牛肉より風味が付けやすいので、ファストフードにぴったり。
2001年までのアメリカ人は、年間36キロの鶏肉を食べていた。これは終戦直後の1950年当時の4倍。今では、年間45キロに近づいている。
アメリカのタイソン社だけで、売上高は3000億ドル、週間生産高は60の工場で、4100万羽を突破した。
ブロイラーの80%以上を三大育種企業が管理していて、そのうち2社はアメリカの企業。
2010年に、アメリカの育種企業の孵化場300ヶ所で90億羽のブロイラーが生産された。
1950年には平均して70日かかり(体重1ポンドあたり)、体重1ポンドあたり3ポンドの飼料を必要とした。これが2010年には、わずか47日間で育った。必要な飼料は2ポンドですんだ。ヒヨコは生後1週間で、体重が4倍に増える。
ニワトリの寿命は10年で、20年も生きることさえある。
ニワトリの原種は、ビルマ(ミャンマー)の原生種であるセキショクヤケイだ。
人間のいる至るところにニワトリがいる。その数は200億羽にのぼる。ニワトリがこの世からいなくなったら、きっと各地でパニックが起きるだろう。
ニワトリは食材でありながら、かつ、インフルエンザのワクチンをつくる入れものとして、人類に貢献している。
子どものころ、我が家でもニワトリを飼っていました。エサのために草をとってきていました。父がニワトリを殺し、腹をさばいて卵が出来ていく過程を見て、たまげました。
(2016年11月刊。2400円+税)

2018年12月16日

道具を使うカラスの物語

(霧山昴)
著者 パメラ・S・ターナー 、 出版  緑書房

カラスは賢い鳥だということはよく知られていますが、カレドニアガラスは道具をつくってエサを取るほどの賢さです。そして、親鳥が赤ちゃん鳥に道具を使って木の中の虫を取り出す技術を伝授するのです。なにしろ、その証拠写真がバッチリありますから知能の高さを疑いようがありません。
この本で観察されているカレドニアガラスには、それぞれ名前がついています。
人間はカラスの個体を識別するのは大変むずかしい。けれども、カラスのほうはきちんと人間の個体識別をしている。
カレドニアガラスは、股状の枝を折ったり、形を加工したりすることで、フック付きの道具をつくる。フックの先を鋭くするため、削る。
赤ん坊カラスは、すべてのものに興味を抱く。新聞を与えると、ズタズタにしてしまう。どんなエサも必ずもてあそぶ。
1羽のカラスが何かを持っていると、他のカラスはそれを欲しがる。カラスたちは、恐ろしいほどイタズラが好きだ。
カレドニアガラスは、「ワァー、ワァー」あるいは「ワァッ、ワァッ」と鳴く。「カァー」とは鳴かない。
カレドニアガラスをめぐる楽しい写真集のようなカレドニアガラスの紹介本です。
(2018年2月刊。2200円+税)

2018年12月 3日

「おしどり夫婦」ではない鳥たち

(霧山昴)
著者 濱尾 章二 、 出版  岩波科学ライブラリー

面白いこと、このうえない本です。鳥の本当の姿を知ることができるという以上に、生命とは何なのかについて考えさせられました。
人は見かけだけでは判断できない。その行動をよく見てから判断すべきだとよく言われます。そのとおりだと思うのですが、では鳥の場合には、どうやって行動を見て判断したらよいのか・・・。鳥を個体識別しないと何事も始まりません。でも、一羽一羽の鳥をどうやって識別するのでしょうか・・・。
ニホンザルやチンパンジー、そしてゴリラなら、じっと観察していたら一頭一頭(ゴリラは一人一人と数えます)の顔や体の違いが識別できるようになるそうです。でも、小鳥には無理ですよね。でも、不可能を可能にするのが学者の仕事です。絵の具を羽に吹きつけたりして、なんとか個体識別の努力をしているのです。頭が下がります。そうやって、一体、何が判明したか。驚くべきことが徐々に分かってきたのです。
オオヨシキリは一夫多妻。第1メスの子は58%がオスなのに、第2メスの子は46%がオスだった。第2メスは第1メスほどオスが子育てに協力してくれないので、質の高い子を育てられる保障がない。そこで、メスを産んでおけば一定の子は残せる。なので、第2メスになったら、産む卵はメスにしたほうがよい。
では、どうやって鳥はオスかメスかを産み分けることができるのか・・・。精子ではなく、卵細胞にメスになるものとオスになるものの2種類がある。しかし、それにしても、どうやって産み分けているのか、そのメカニズムの全貌はまだ解明されていない。
北米のツバメでは、巣立ちまでに死亡したヒナの1%が子殺しによるもの。それは、独身のオスがヒナをつついて殺して、被害者のメスを結婚相手として獲得しようとしている。繁殖に失敗したら、しばしばつがいを解消するからである。
鳥全体では一夫多妻の種は数%にすぎず、9%以上の種は一夫一妻で繁殖している。子育ての制約があるからだ。
一夫多妻といっても、一夫多妻のオスがいる一方で、メスを得られなかったオスがいるというのが実態。それはそうでしょうね。みんながみんな一夫多妻というのは、オスとメスの数に圧倒的な差がないと不可能ですから・・・。
鳥のオスは、つがい相手を得ることと、つがい外交尾を行うことの二つの手段を駆使して、自分の子を少しでも多く残そうとしている。
これって、人間の浮気にも通じる話ですよね、きっと・・・。
アマサギでは、34%の交尾が、つがい外のオスとメスによって起きていた。
一夫多妻のオスは、メスが「浮気」しないよう一瞬も気を抜かずにメスに張りついておかないといけない。体重が1割も減るほどの難苦です。
一部の種のオスは、メスが抱卵中につがい外交尾(一夫多妻)を目ざす。これって、人間の男のすることでもありますね。
鳥のメスは、少しでも優れたオス、たとえばよい縄張りをもつオス、捕食者から逃れる能力が高く、病気にも強いオスとつがいになろうとする。つまり、メスは繁殖に際してパートナーを厳選している。
アマサギのつがい外交尾は、メスはつがい相手より優位なオスだと交尾を受け入れ、劣位なオスだと攻撃して追い払う。
一夫多妻の鳥は少なく、全種の1%以下でしかない。
メスの死亡率は高い。それは、繁殖・子育ての負担。そして、捕食者に襲われやすいから。
托卵にしても、宿主となった鳥が卵を拒否することが20%ほどある。また、宿主が托卵鳥のヒナを拒絶することがあることも判明した。
こういうことが判明したのはDNA鑑定によって鳥の識別が可能になったからですが、しかし、その前に取りの識別が必要なことは言うまでもありません。そのためには、山中に何日も泊まり込んで観察を続けるなどの苦労を必要とするわけです。好きでないとやってられない仕事だと思います。でも、そのおかげで、居ながらにして、いろんな生命体の存在形態をこうやって知ることが出来るわけです。ありがたいことです。
(2018年8月刊。1200円+税)

2018年11月19日

ハトと日本人

(霧山昴)
著者 大田 眞也 、 出版  弦書房

身近にいるハトを豊富な写真とともに解説してくれる貴重な本です。
ハトと漢字で書くと鳩。九と鳥です。「九」は、手を曲げてぐっと引きしめた姿を描いた象形文字。つまり、ぐっとしぼって集まる鳥。仲間を引き寄せて群れる鳥、ということ。
ところが、漢字のはとはもう一つ、鴿とも書くそうです。合と鳥です。こちらは合わさる鳥。つまり、集まり合う鳥ということ。
ドバトは繁殖力が強く、平均寿命は飼育下で平均9年。15年以上も生きたドバトもいる。
ハトの抱卵は、昼間は雄がし、夜間は雌がする。雄は昼に8時間、雌は夜に16時間。
ハトのヒナに与える鳩乳(ピジョン・ミルク)は、雌だけでなく雄も分泌してヒナに与える。
ええっ、そうなんですか、父親も鳩乳をやるのですね・・・。
このピジョン・ミルクには乳糖やカゼインは含まれていない。黄色いカテージチーズのような粘り気のある濃厚な液体で、水分は65%、タンパク質や脂肪分に富み、ビタミン(A・B・B2)やミネラル(ナトリウム・カルシウム・リン)などが含まれていて、栄養価が高い。
鳩は、主として、果実や花など植物質を食べているが、ときにはミミズやカタツムリ、昆虫の幼虫なども食べる。
ドバトの羽色は一羽ごとにみな違っている。外見でオスとメスを見分けるのは難しい。
私は一度だけハトのラブシーンを見たことがあります。公園のフェンスに2羽のハトが並んでいました。すると、2羽は体をぴったりくっつけ、お互いのくちばしで、それこそ濃厚ラブシーンを展開するのです。前に、フランスの自然観察映画で、カタツムリのラブシーンを見たことがありましたので、すぐにそれを思い出しました。このときには交尾に至るのまでは目撃できませんでした(私が、途中で公園を離れたのです)が、きっと交尾までいったと思います。
日本には300種いるハト科の鳥が12種いるとのこと。身近なハトの生態をしっかり勉強することができました。
(2018年6月刊。1700円+税)

2018年8月13日

カラス学のすすめ


(霧山昴)
著者 杉田 昭栄 、 出版  緑書房

毎朝毎日、見かけないことがない鳥がカラスです。でも、同じように黒いツバメとちがって、どうにも好きになれそうもありません。
嫌われもののカラスは、実際に大量に駆除され、ひところよりはずい分と減っているとのこと。賢いカラスに関する面白い話が満載の本です。
いま、日本では年間30~40万羽のカラスが害鳥として駆除されている。ええっ、どうやってあの賢いカラスを捕まえ、殺しているのでしょうか・・・。
カラスは、古代エジプトでは不吉な鳥とされていたが、旧約聖書では、カラスは重要な使者として、人間の役に立っていた。
童謡にカラスの赤ちゃんが登場してくるのを指摘されると、不思議な気がします。
そして、「夕焼け小焼け」でも、最後は、「カラスと一緒に帰りましょ」ですね・・・。
戦前の日本の軍のなかで新兵はカラスと呼ばれていたというのを初めて(?)知りました。新兵は階級章もなく、征服はまっ黒だったからです。格好のいじめの対象になったことでしょう。
カラスは、スズメ目カラス科の総称。46種類のカラスがいる。日本には、ハシブトガラス、ハシボソガラスなど5種のカラスがいる。
ハシブトガラスはクチバシが大きく太く、頭が丸い。カァーカァーと澄んだ声で鳴き、肉を好む。東京には平成13年に4万羽ほどいたのが、今では1万2千羽にまで減った。
ハシボソガラスはガァーガァーと濁った鳴き声で、郊外の農村部にすんでいる。
カラスは共食いをする。
カラスの寿命は12年ほど。
カラスは賢い。顔写真のなかから、間違いなく選びだす。
カラスは人間の男女という性別も識別している。
カラスの親は自分の子どもを分かっているし、子どもも親を間違えることはない。
カラス同士にしても、お互いの顔を識別している。
この結論は簡単ですが、それを証明するための実験には、かなり工夫と忍耐力を要したことでしょう。
カラスの記憶は1年は保てるし、数の概念だってある。
ほとんどのカラスは、4キロから5キロ以内の狭い範囲で活動している。これは、カラスの背中にGPSの発信器を付けて調査した結果です。
カラスは最高時速73キロメートル、平均時速34キロメートルというのですから、原付バイク並みです。私は速いと思います。
日本でも、昔、カラス田楽(でんがく)といって、カラス食の文化があったそうです。
でも、あの黒さって、いかにもまずそうですよね・・・。ところが、カラスの肉にはタウリンという遊離アミノ酸が50%近くも含まれていて、とても健康にいいのだそうです。
そして、フランス料理にもカラスの料理があるそうです(聞いたことありませんし、もちろん食べたことありません)。なんだか食べたくないですよね。カラスって、本当に食べられるんでしょうか・・・。
(2018年6月刊。1800円+税)

2018年7月 9日

歌う鳥のキモチ

(霧山昴)
著者 石塚 徹 、 出版  山と渓谷社

朝早くから澄んだ鳥の鳴き声を聞くと、心も洗われる爽快な気分に浸ることができます。
では、いったい鳴いている鳥たちは、いかなる気分なのでしょうか・・・。そんなの、分かるはずがない。そう決めつけてしまっては身も蓋(ふた)もありません。そこを追求して解明するのが学者なのです。ええっ、でも、どうやって鳥の気持ちを測るの・・・。
鳥は、一見すると夫婦仲良くけなげに子育てしているようだが、実は非常に浮気者。世界に1万種ほどいる鳥の9割は一夫一妻だが、調べると、鳥の浮気はすぐに発覚する。そうなんです。DNAを調べると、子の父親がいろいろ違っていることが判明するのです。
歌っているのは、ほとんどオスの鳥だ。
鳥の胸のなかには、人間にはない「鳴管」というのが呼吸器官とは別にあるので、呼吸とは別に、あるいは同時に、空気を震わせて音を出すことができる。
鳥は、命にかけてもパートナーが欲しい。だから、自分の居場所が分かるような声のトーンで歌う。タカなどが出現したときの警戒の地鳴きは「ヒー」とか「ツィー」とか、高周波の声で、それは居所がつかみにくい。
メスが産卵するのは、ふつう早朝であり、メスが出てくるのは産卵直後だ。そして、産卵直後に行う交尾が翌日に産む卵の受精にもっとも効果がある。
アオガラは、メスが夜明けになわばりを離れ、質の高いオスとの婚外交尾(浮気)を求めて出歩く。夜明けに早く歌いはじめ、長いこと歌うオスほど、多くのメスを射止め、婚外交尾にも成功する。歌いはじめの早いオスは、年長のオスに多い。
いかにも夫婦仲の良さそうなツバメやモズクでも、5,6羽の子どもたちのなかに1羽くらい父親の違う子がまじっている。
高山にすむイワヒバリやカヤクグリは、メスが積極的にオスを誘惑して交尾を誘う。メスがグループ内の複数のオスに交尾を迫るのは、オスの全員に、子の父親のような気にさせるという利点がある。つまり、オスたちから、より多くの労働力を引き出そうという、メスの戦略なのである。
箱根のクロツグミには、一羽ずつ、しっかりしたレパートリーがあり、それを順ぐりに歌っている。歌は数節からなり、その第一節は、一羽がせいぜい十数類のレパートリーだ。
そして、ツグミは、独身と既婚とでは、歌い方がまるで異なる。既婚者なのに、独身のふりをしたくなるのがオスの本音なのだ。
メスは、何日もかけて、しっかりオスの品定めをする。
複数のメスを同時に獲得した3羽のオスは、つぶやき声のレパートリーがずば抜けて多いオスだった。つぶやき声は、「勝負音」であり、オスの質のバロメーターになっている。目の前に来たメスに対して出す勝負音は、大声である必要はない。むしろ、小声にして、「あなただけに歌ってますよ」という情報に切り替えている。
鳥の鳴き声を録音して可視化し、個体識別に励んでいる学者の姿を想像すると、思わず拍手したくなります。
(2017年11月刊。1400円+税)

2018年1月 4日

目立ちたがり屋の鳥たち


(霧山昴)
著者  江口 和洋 、 出版  東海大学出版部

 タイトルから想像される内容とは異なり、鳥について、多角的なアプローチがなされている本です。
 これまで鳥類は嗅覚が鋭敏ではないとされてきたが、ミズナギドリ類などの海鳥などでは、においが信号として重要な役目を果たしていることが最近わかった。ミズナギドリ類は、個体ごとに独特のにおいをもち、このにおいをもとに、視覚のきかない夜間でも、つがい相手のいる自分の巣穴の位置をつきとめることができる。
 地中海沿岸にいるクロサバクヒタキはスズメより小さい鳥。オスは巣の近くに多くの小石を運ぶ。多くの小石を運んだオスとつがいになったメスは早く産卵を開始し、産卵数が多い傾向があり、小石を運ぶ量の少ないオスのつがいより多くのヒナが巣立つ。つまり、メスはオスが運ぶ小石の量でオスの質を評価し、早く繁殖を始めて、より多くの卵を産むことで、つがい形成後の繁殖投資を高めている。また、小石を多く運ぶオスは、ヒナの誕生したあと、ヒナへの給餌回数が多い、良い父親でもある。
 ホシムクドリでは、長い歌をさえずるオスほど早くメスを獲得し、また、より多くのメスを獲得する。
 オオガラは、長い歌をさえずるオスは、つがい外交尾(浮気のこと)に成功することが多く、自身のつがいメスが、つがい外交尾をすることが少ない傾向にある。
 カラスはダチョウの卵の殻を割ることができない。そこで、殻を割っているハゲワシにつきまとい、殻が割れた瞬間に集団で攻撃し強奪する。いやはや、すごい知能犯集団です。
 ヨーロッパのカササギは、日本と同じく小枝をつかって大きな巣をつくる。少し異なるのは、日本のカササギは例外なく立派な屋根つきのドーム状の巣をつくるけれど、ヨーロッパのカササギは、屋根のない巣をつくるものもいる。屋根があると、捕食者のカラスが入りにくく、卵やヒナが捕食される危険を小さくできる。
 カササギは巣をつくるのに費やす時間が短く、早く巣をつくるオスのつがい相手のメスは多くの卵を産んだ。カササギのメスは、巣や造巣行動を手がかりに、オスの造巣能力、ひいてはオスの資質を評価して、能力の高いオスとつがった場合は、産卵数がふえる。
 闘争能力の高い個体は、冬期の餌の確保や繁殖期のなわばり占有を通じて適応度を高めている。これに対して闘争能力に劣る個体は、頭をつかって別の道を探る方向に進んでいる。
 鳥にもいろんな鳥がいて、それぞれ適応・発達していることがよく分かる本です。
(2017年4月刊。2800円+税)

2017年10月 7日

にっぽんスズメしぐさ

(霧山昴)
著者 中野 さとる 、 出版  カンゼン

夕方になると、駅前の街路樹でスズメの集団がかまびすしいですよね。大勢のスズメたちが、あっちうろうろ、こっちうろうろして、鳴きかわしています。いったいぜんたい、何を話しているのでしょうか・・・。私は、ぜひぜひ、その会話の中味を知りたいです。
この本は、日本のスズメの生態を写真で紹介するシリーズ第二作。
スズメは、3月、桜の花が咲くころ、メスは卵を産みはじめる。産んだ卵をすぐに温めるのではなく、すべての卵を産み終えてから抱卵をはじめる。これは産卵順で成長に差が出ないように、卵のかえるタイミングをそろえるため。卵のほうも、温められてから成長スイッチが入るようになっている。
抱卵して2週間ほどでヒナが誕生する。そして、親は毎日せっせとエサを運ぶ。1日300回、2週間で4200回、親はエサをヒナに運ぶ。そして、ヒナのフンを外へ放り出して、巣の中を清潔にたもつ。
巣だってしばらくの間も、エサをとるのが苦手な幼鳥は親鳥がエサを与えて、ケアする。
その後、親は次の子育てに入り、8月から9月にかけて2回、多いときには3回も子育てする。そんなにヒナの子育てしたら、スズメが爆発的に増えるはず。ところが、現実には、そんなにスズメは増えていない。なぜか・・・。
野生のスズメの平均寿命は1年3ヶ月。自然のなかでは仔スズメは、ほとんどが生きのびれない。生き残った、ほんの一部が子孫を担うことで命がつながっている。
カラスやツミがスズメのヒナを襲う。
亡くなった作家の半村良は、スズメが大好きで、庭に来る100羽のスズメの全部に名前をつけて個体識別していた。
山の中で道に迷ったらスズメを探したらよい。なぜか・・・。日本のスズメは、人の暮らしの周囲にしかいないので、山の中でスズメに会ったら、人家が近くにあることを意味しているからだ・・・。
スズメは、水浴びと砂浴びの両方をやる。そして、不思議なことに水浴びのほうが先。そのあと砂浴びをする。
スズメの生態をよくとらえた写真集です。
(2017年5月刊。1400円+税)

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