弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物(昆虫)

2016年9月 4日

つちはんみょう

(霧山昴)
著者  舘野 鴻 、 出版  偕成社

ヒメツチハンミョウという小さな昆虫の一生が大きく美しく描かれた本です。子ども向けの絵本ではありません。科学絵本です。写真以上に微細に色と形が大きく再現されます。
メス(母親)は4000個もの卵を土の中に生みつけます。1ヶ月後、幼虫がふ化して、地表に出てきます。そして、コハナバチに乗って花にたどり着き、次にヒメハナバチの巣のなかに入りこみます。ヒメハナバチの幼虫を食べ、花粉団子を巣のなかで食べて大きくなります。そして、ヒメハナバチの巣を出て、地上に出て飛んでいきます。
写真もありますが、幻想的な絵として描かれていますので、ツチハンミョウの短い一生がすごく長いものに感じられます。4000個の卵のうち、親になって子どもをもうけるのは、ごくわずかなのです。
それにしても、自力では飛べない幼虫たちが、花にしがみついていて、たまたま飛んできたコハナバチにしがみついて、生きのびるとは、なんと偶然をあてにした生き方でしょう。
でも、人間の一生も偶然性に大きく左右されていますよね。ツチハンミョウの偶然を利用した生き方と、果たして、どれだけの違いがあるのでしょうか・・・。
よくぞ、これほど微細に観察して絵本にしたものです。そのご労苦に敬意を表します。
(2016年4月刊。2000円+税)

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